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懐かしの原付きバイク大辞典 (Nostalgic moped bike dictionary)

より多くの人に原付バイクの楽しさを知ってもらいたい

3. スズキ チョイノリ

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bikebros.co.jp

さて今日は、「スズキのチョイノリ」です。当分初めのうちは「私が所有していた原付バイク」を中心にご紹介していきます。様々な経験からより詳しい情報をお伝えできると思うからです。

スズキ チョイノリ (2007年)の基本スペック

メーカー スズキ エンジンタイプ 4ストローク・空冷・単気筒 OHV・2バルブ
モデル名 チョイノリ エンジン始動方式 -
タイプ・グレード - 最高出力 2ps(1.0 kw)/5500rpm
動力方式 - 最大トルク 0.3kg・m(2.9N・m)/3500rpm
型式 CZ41A 車体重量(乾燥重量) 39kg
排気量 49cc 車体重量(装備重量) 43(概算値)kg
発売開始年 2007年 パワーウエイトレシオ 19.5kg/PS
燃料消費率 76km/L 全長・全高・全幅 1500mm × 975mm × 620mm
燃料タンク容量 3.0リットル シート高 680mm
航続可能距離 228.0km(概算値) フロントタイヤサイズ 80/90-10 34J
燃料供給方式 キャブレター リアタイヤサイズ 80/90-10 34J

 

スズキ チョイノリ (2007年)のサービスデータ

標準装着プラグ CR6HSA スプロケットサイズ ドライブ(前) -
ドリブン(後) -
プラグ使用本数 - チェーンサイズ 415 / 68リンク
プラグギャップ - バッテリー型式 YT4L-BS
エンジンオイル全量 - ヘッドライト 12V 15w
ライトタイプ: -
オイル交換時 0.3L ヘッドライト備考 12V 15w
エレメント交換時 - テールライト --
フロントウインカー定格 - リアウインカー定格 -

スズキ チョイノリ (2007年)の詳細サービスデータ


 

原動機型式 -
ボア -
ストローク -
圧縮比 -
点火方式 -
エンジン潤滑方式 -
フレーム形式 -
最小回転半径 1.0m
キャスター角度 -
トレール量 -
最低地上高 -
軸間距離 -
ハンドル切れ角度(右) -
ハンドル切れ角度(左) -
定員 1人
燃料タンクリザーブ容量

-

webike.net 

 

まずは諸元表から・・・。なんと言ってもまずは、どこにでも書いてある「チョイノリ」の特徴から行ってみましょう。

当時は、販売価格コスト削減のために「海外生産」のバイクが流行り始めていた時代に、鈴木修会長の「国産で低価格のバイクを作れ」という号令のもと、だいたい通常ではもう原付スクーターは10万円はしていた時代に、「59800円」という低価格で衝撃的デビューをしました。

 

以前鈴木は4輪車で「スズキアルト47万円」という販売戦略がヒットした成功体験が有り、この「チョイノリ」も発売当初は爆発的売れ行きをしたそうです。

 

しかしながら、その「低価格実現」の為に払った「造り手の苦労」は大変なもので、どうしても「安かろ悪かろう」がついて回りそれが次第に市場に浸透するにつれて「スーパーカブ」のようには行きませんでした。

 

「耐久性にかける」(壊れやすい)     「めちゃくちゃ遅い」  

 

などなど・・・・やはり59800えんは59800円なりのバイクという名札がつくようになります。

 

がしかし・・・・・・・

 

これを「大人のおもちゃ」と捉えたらこれほど「いじり甲斐のあるおもちゃ」はなく、「安価」で修理や改造が楽しめるバイクとして私も含めてネット上にも「チョイノリブロガー」がたくさん現れました。

 

私はブログはしませんでしたが、「チョイノリブロガー」のお友達が何人か出来て、普通の人が聞いたら「まったくくだらない些細なネタ」で一喜一憂して楽しみました。

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ちなみに、これが私の所有していたチョイノリです。知人が不動車となり捨てるにもお金がかかると業者に言われて、5000円で譲っていただきました。

 

 



これを「エンジン」「駆動系」「サスペンション」「積載」などに手を加え、もじどうり「おもちゃ」として楽しみました

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かんたんに説明すると・・。

不動車でしたから「エンジン」「キャブ」をOHしました。お使いに便利なように後ろに「自転車のかご」を工夫して取り付け、平らなフロアステップに「買い物」を置けるように100均で買ったフックを取り付けました。

 

目が利く方は気が付かれたかもしれませんが「フロントサス」をプチ改造したと同時にセピア用「エアロサスペンションカバー」を赤く塗装しドレスアップしました。

 

チョイノリは「リヤサス」が有りません!!のでシート自体にスプリングを加工してつけました。

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フロントサスは「底づき」が激しくばらしてみたら「ストッパーゴム」が長いのでゴムを短くしてサスの稼働ストロークを伸ばしました。

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以外にこんなことでも「底づき」頻度はものすごく下がり、「快適」とか「しなるような足回り」とは到底縁遠いものの、町内を走り回るときの「ゴトゴト」感は大幅に削減されました。

 

ノーマル状態での最高速度は30キロ~40キロでしたが、エンジンOH、セピアの「ハイスピードプーリー」、ベルト新品、メインジェットの交換、エアクリを「スポーツタイプ」に付け替え、ウエイトローラーの調整、リヤタイヤの大型化などにより45キロの巡航を可能にしていましたが・・・・・。

 

このチョイくんの欠点でもある「好調が長続きしない」バイクでした。

 

だいたい3ヶ月も乗り回していると、パワーが落ちてきます(巡航最高速度が落ちてくる)

 

これは私にも責任があり全開時に燃料を多く送り込む工夫をしたのはよいけれど、そのために「スラッジ」(ススのようなもの)が多くエンジン内に発生してそれが「バルブ」の表面や燃焼室に付着して、不完全燃焼を起こす原因となり、そのうちバルブに溜まったスラッジ(スス)によってバルブに隙間ができて「圧縮が下がり」そのうち「バルブ」が閉じなくなる。

 

そうなるとその歪みは「OHV」エンジンの「プッシュロッド」に負荷をかけ、そのうちプッシュロッドが曲がってしまう。という最悪のローテーション。

 

 

 

こんな現象を普通の主婦の方やメカが苦手な方がわかるはずもなく・・・「壊れた」ということになり、すぐに「不動車」になってしまいます。

 

ここで困るのが販売店。修理するにしても新車で59800円のバイクに修理費を「1万円~2万円」かけることが難しく、こんなことが続くなら、いっそ中古の「レッツ」を買ったほうが良い!という結論になってしまいます。

 

この「チョイノリ」というバイクは「造り手の低価格販売に挑戦した努力の結晶」ではあったけれど、買う側も「59800円」なんだからすぐ壊れたり頻繁に修理が必要でもそれは仕方がない。・・・とは行かないわけです。

 

私も生活環境の変化によって手放さなくてはならなくなり、残念でしたが、この斬新なアイディアの詰まったバイクは、いつかまた、手元において置きたいバイクです。

 

ちなみに、低価格実現のための「チョイノリ」の工夫の一端をご紹介。

 

「ライト」はLOWだけ。しかも15Wで 暗い。

「エンジン」は芝刈り機用を流用。定期的OHが必要。

「リアサスペンション」ナシ。

スピードメーター」内に積算計がない。正確な燃費が測れない。おそらく勘では30キロ/L前後ではなかったかと思われます。(後に積算計は装備されるがマイナーチェンジで販売価格も上がった)

 

 

しかしおそらく今も所有されてる方は、そのへんをわきまえて可愛がっているのだと思いますので、町中で見かけたら、「そういう目」で見てあげてくださいませ。

 

 

2. アドレス110 その2

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しょっぱな、なんとなくいい感じの写真があってアドレス110の話を期待されていた方には、横道に大きくそれてしまい大変に失礼いたしました。

 

私もいい年なのでどうしても「昔話」に走る傾向があり今後は「ここらでちょっと一服」程度に織り交ぜていきたいと思います。

 

まずは大辞典を目指さないとといけませんね。

 

さて、「アドレス110」に話を戻します。これからこつこつとたくさんの「原付バイク」を紹介させていただき、新しく仕入れたネタには過去に戻って「1台」のバイクについて追加して内容を豊かにしていきたいと思っています。

 

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bikebros.co.jp

まずは「アドレス110」を語る上でなくてはならない偉大な大先輩である「アドレスV100」を語らなくてはいけません。

 

ザックリいうと「ロードパル」から始まった「スクーターブーム」はその利便性が認められ原付スクーターは「より強く」「より早く」が求められた中で、50CCクラスの車体に100CCのエンジンを詰め込んだこの「アドレスV100」は「通勤快速」と謳われ、排気量の大きさが「公道の速さ」に比例しない事を見事に証明してみせました。

 

渋滞が発生する一般公道ではそのスリムさが(本来は危険な行為でいけないことですが)「すり抜け」という走り方を生み、一般公道においては「リッタークラス」でさえ「追いつけない」状況を生み、これはもうオーナーにとってはこの上ない「快感」であったわけです。(再三言いますが、すり抜けは危険な行為です)

 

「アドレス110」はそんな中で生まれてきたバイクですが、私にはこのバイクには、「強さ」「速さ」とは違うものを求めて作られたのだと思いました。

 

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mc-web.jp

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ameblo.jp 

ご覧のように当時のスクーターは「フラットフロア」(足を置くところが真っ平ら)を持ち、これは「女性」が「スカート」でも乗れる手軽さを提供したわけで、今までバイクに乗ることのなかった「主婦層」がこの時代のスクーターブームに大きな役割を果たしていたわけで。そして「アドレスV100」もフラットフロアを持ったスクーターでしたが、「アドレス110」にはこの「フラットフロア」が有りません。

 

スズキ アドレス110 (2003年)の基本スペック

メーカー スズキ エンジンタイプ 強制空冷・2サイクル・単気筒・ケースリードバルブ
モデル名 アドレス110 エンジン始動方式 セル・キック併用
タイプ・グレード - 最高出力 10ps(7.4kw)/6000rpm
動力方式 - 最大トルク 1.3kg・m(13N・m)/5500rpm
型式 CF11A 車体重量(乾燥重量) 93kg
排気量 113cc 車体重量(装備重量) 100kg
発売開始年 2003年 パワーウエイトレシオ 9.3kg/PS
燃料消費率 41.0 km/L ( 60 km/h走行時) 全長・全高・全幅 1855mm × 1120mm × 630mm
燃料タンク容量 6.0リットル シート高 735mm
航続可能距離 246.0km(概算値) フロントタイヤサイズ 90/90-12 44J
燃料供給方式 キャブレター リアタイヤサイズ 100/80-12 56J

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スズキ アドレスV100 (1995年)の基本スペック

メーカー スズキ エンジンタイプ 2サイクル・強制空冷・単気筒・ケースリードバルブ
モデル名 アドレスV100 エンジン始動方式 セル・キック併用
タイプ・グレード - 最高出力 9.0ps(6.6kw)/6000rpm
動力方式 - 最大トルク 1.1kg・m(10.8N・m)/5500rpm
型式 CE11A 車体重量(乾燥重量) 80kg
排気量 99cc 車体重量(装備重量) 85kg
発売開始年 1995年 パワーウエイトレシオ 8.9kg/PS
燃料消費率 53.3 km/L ( 50 km/h走行時) 全長・全高・全幅 1745mm × 1015mm × 635mm
燃料タンク容量 6.0リットル シート高 718mm
航続可能距離 319.8km(概算値) フロントタイヤサイズ 3.50-10 51J
燃料供給方式 キャブレター リアタイヤサイズ 3.50-10 51J

webike.net 

 そして「諸元表」にもある通り、小回りの利く「V100」の「コンパクトさ」をあえて捨てて「より大きく」「豪華に」なりました。

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そして、「フラットフロア」に出来なかった(しなかった)理由がこれ!

エンジンとフレーム繋げてを補強するタワーバー?を設けてあります。

フラットフロアの利便性より、バイク全体の「剛性アップ」を優先したのだと思います。

わたしはこのバイクは所有していましたので、その「剛性アップ」の恩恵は痛いほどよくわかりました。

抜群の「直進安定性」。高速コーナリングでの「安定性」はまさに「オンザレール」(

道路の凹凸に左右されず安定して走る事)の感覚でした。

 

理由はともあれ当時の私は「小排気量バイクは2サイクルに限る」と思っていてこだわりを持っていました。

 

時代はまだ原付きには「インジェクション」もなく、原付二種のスクーターの中で最速は何なのか?を考えた時、選択肢は「アドレス110」だったのです。

 

 

全長

車重

出力

トルク

燃費

エンジン

燃料 タンク

シグナス125SV

1800mm

101kg

10ps

1.0kgm

41km/l

空冷 4サイクル単気筒

6.5l

シグナス125D

1860mm

104kg

10ps

1.0kgm

55km/l

空冷 4サイクル 単気筒

7.8l

グランドアクシス100

1850mm

90kg

10ps

1.1kgm

39km/l

空冷 2サイクル単気筒

6.5l

ヴェクスター  125

1910mm

104kg

12ps

1.2kgm

54km/l

空冷 4サイクル 単気筒

8.0l

アドレス

110

1855mm

93kg

10ps

1.3kgm

41km/l

空冷 2サイクル単気筒

6.0l

アドレス

V100

1745mm

83kg

9.0ps

1.1kgm

43km/l

空冷 2サイクル単気筒

6.0l

スペーシー   125

1790mm

106kg

10ps

1.0kgm

43km/l

空冷 4サイクル 単気筒

6.5l

 

これは当時私が作った比較表です。パワーこそ劣りますが、トルクはナンバーワンでした。

 

1998年当時、から一時期、「アドレスV125」の登場までは、このバイクは「豪華で」「速い」バイクだったのです。

 

「燃費」は15~16キロ/Lと悪く、始動性が悪いのも欠点でした。(オートチョークでしたが、なかなか1発始動しませんでした。)

 

そして、なんとも愛らしいのは「市場にはあまり受け入れられなかった」と、言うことでした。「大きすぎるし」「フラットフロアではないし」「音はうるさいし」ということだったのでしょうが、その「希少」ぶりが、なんとも愛おしいバイクです。

 

 

☆最後に極めつけ・・・・・・。

 

なんとこのバイクは同じ外観で50CCが存在してました。

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これはもう希少としか言いようがありません。「造り手」の思いとは別にこの素晴らしいバイクは理解者にだけ愛されながら、静かにアドレスV125(アドレスV50)へとバトンを渡していったのでした。

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見やすいように、ネットから引っ張ろうとしましたが、どこにも見当たらないので、仕方がなく、自前の「UG50サービスマニュアル」からアップしました。やはりこの「UG50アドレス」は『幻のバイク』と言わざるを得ないようですね。いいバイクでも「売れなきゃ」廃番の運命です。(厳しい)

1. 記念の第1回はスズキアドレス110

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私が15歳のとき(昭和50年、1970年)『16歳になったらバイクの免許を取って乗るんだ!』と心に決めて原付き(当然1種)免許を取るために参考書を買い、10月の誕生日をまだかまだかと心待ちにしながら、ようやく取った原付免許。もう嬉しくて嬉しくて・・。買うバイクは「TL50」と決まっていた。(その頃からカタログを調べるのが大好きな坊やでした)

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honda.co.jp

まだまだ、バイクの「バの字」もわからなくて、とにかく「スタイルがかっこいい」と思い、これを買うために、新聞配達のバイトをはじめました。

 

新聞配達なんて「なんでもすぐに投げ出してしまうお前にできるわけがない」と両親には冷ややかな目で見られていましたが、これが始めたら「面白くて!楽しくて!」夏の暑さも、冬の寒さも何のその!

 

そりゃそうです。大好きなバイク(バイト先の新聞販売店のバイクはスズキバーディー50でした)

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で早朝あまり人気もない町中を全開!全開!また全開!とぶっ飛ばし!それでお金がもらえるなんて・・・こんな素晴らしいバイトはない!と思っていました。

 

念願の「TL50」は免許が来る前に届いてしまい、すでに「無免許」で友人の「スズキミニクロ50」

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 を乗り回していたところパトカーに追いかけられ捕まり、こってりお叱りを受けていましたので、父親は免許が来るまでは「乗ってはイカン」(当然ですが)ということで、「TL50」は我が家の庭から板の間の居間(14畳有りました)に拉致され私は免許が来るまで居間に鎮座してるピカピカの新車の「TL50」を眺めて幸せを実感していました。

 

さてこのへんで昔話はさておき「アドレス110」に話を戻します。(またコツコツといろんなバイクの話を織り交ぜていきます)