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懐かしの原付きバイク大辞典 (Nostalgic moped bike dictionary)

より多くの人に原付バイクの楽しさを知ってもらいたい

2. アドレス110 その2

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しょっぱな、なんとなくいい感じの写真があってアドレス110の話を期待されていた方には、横道に大きくそれてしまい大変に失礼いたしました。

 

私もいい年なのでどうしても「昔話」に走る傾向があり今後は「ここらでちょっと一服」程度に織り交ぜていきたいと思います。

 

まずは大辞典を目指さないとといけませんね。

 

さて、「アドレス110」に話を戻します。これからこつこつとたくさんの「原付バイク」を紹介させていただき、新しく仕入れたネタには過去に戻って「1台」のバイクについて追加して内容を豊かにしていきたいと思っています。

 

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bikebros.co.jp

まずは「アドレス110」を語る上でなくてはならない偉大な大先輩である「アドレスV100」を語らなくてはいけません。

 

ザックリいうと「ロードパル」から始まった「スクーターブーム」はその利便性が認められ原付スクーターは「より強く」「より早く」が求められた中で、50CCクラスの車体に100CCのエンジンを詰め込んだこの「アドレスV100」は「通勤快速」と謳われ、排気量の大きさが「公道の速さ」に比例しない事を見事に証明してみせました。

 

渋滞が発生する一般公道ではそのスリムさが(本来は危険な行為でいけないことですが)「すり抜け」という走り方を生み、一般公道においては「リッタークラス」でさえ「追いつけない」状況を生み、これはもうオーナーにとってはこの上ない「快感」であったわけです。(再三言いますが、すり抜けは危険な行為です)

 

「アドレス110」はそんな中で生まれてきたバイクですが、私にはこのバイクには、「強さ」「速さ」とは違うものを求めて作られたのだと思いました。

 

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mc-web.jp

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ameblo.jp 

ご覧のように当時のスクーターは「フラットフロア」(足を置くところが真っ平ら)を持ち、これは「女性」が「スカート」でも乗れる手軽さを提供したわけで、今までバイクに乗ることのなかった「主婦層」がこの時代のスクーターブームに大きな役割を果たしていたわけで。そして「アドレスV100」もフラットフロアを持ったスクーターでしたが、「アドレス110」にはこの「フラットフロア」が有りません。

 

スズキ アドレス110 (2003年)の基本スペック

メーカー スズキ エンジンタイプ 強制空冷・2サイクル・単気筒・ケースリードバルブ
モデル名 アドレス110 エンジン始動方式 セル・キック併用
タイプ・グレード - 最高出力 10ps(7.4kw)/6000rpm
動力方式 - 最大トルク 1.3kg・m(13N・m)/5500rpm
型式 CF11A 車体重量(乾燥重量) 93kg
排気量 113cc 車体重量(装備重量) 100kg
発売開始年 2003年 パワーウエイトレシオ 9.3kg/PS
燃料消費率 41.0 km/L ( 60 km/h走行時) 全長・全高・全幅 1855mm × 1120mm × 630mm
燃料タンク容量 6.0リットル シート高 735mm
航続可能距離 246.0km(概算値) フロントタイヤサイズ 90/90-12 44J
燃料供給方式 キャブレター リアタイヤサイズ 100/80-12 56J

 webike.net

 

スズキ アドレスV100 (1995年)の基本スペック

メーカー スズキ エンジンタイプ 2サイクル・強制空冷・単気筒・ケースリードバルブ
モデル名 アドレスV100 エンジン始動方式 セル・キック併用
タイプ・グレード - 最高出力 9.0ps(6.6kw)/6000rpm
動力方式 - 最大トルク 1.1kg・m(10.8N・m)/5500rpm
型式 CE11A 車体重量(乾燥重量) 80kg
排気量 99cc 車体重量(装備重量) 85kg
発売開始年 1995年 パワーウエイトレシオ 8.9kg/PS
燃料消費率 53.3 km/L ( 50 km/h走行時) 全長・全高・全幅 1745mm × 1015mm × 635mm
燃料タンク容量 6.0リットル シート高 718mm
航続可能距離 319.8km(概算値) フロントタイヤサイズ 3.50-10 51J
燃料供給方式 キャブレター リアタイヤサイズ 3.50-10 51J

webike.net 

 そして「諸元表」にもある通り、小回りの利く「V100」の「コンパクトさ」をあえて捨てて「より大きく」「豪華に」なりました。

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そして、「フラットフロア」に出来なかった(しなかった)理由がこれ!

エンジンとフレーム繋げてを補強するタワーバー?を設けてあります。

フラットフロアの利便性より、バイク全体の「剛性アップ」を優先したのだと思います。

わたしはこのバイクは所有していましたので、その「剛性アップ」の恩恵は痛いほどよくわかりました。

抜群の「直進安定性」。高速コーナリングでの「安定性」はまさに「オンザレール」(

道路の凹凸に左右されず安定して走る事)の感覚でした。

 

理由はともあれ当時の私は「小排気量バイクは2サイクルに限る」と思っていてこだわりを持っていました。

 

時代はまだ原付きには「インジェクション」もなく、原付二種のスクーターの中で最速は何なのか?を考えた時、選択肢は「アドレス110」だったのです。

 

 

全長

車重

出力

トルク

燃費

エンジン

燃料 タンク

シグナス125SV

1800mm

101kg

10ps

1.0kgm

41km/l

空冷 4サイクル単気筒

6.5l

シグナス125D

1860mm

104kg

10ps

1.0kgm

55km/l

空冷 4サイクル 単気筒

7.8l

グランドアクシス100

1850mm

90kg

10ps

1.1kgm

39km/l

空冷 2サイクル単気筒

6.5l

ヴェクスター  125

1910mm

104kg

12ps

1.2kgm

54km/l

空冷 4サイクル 単気筒

8.0l

アドレス

110

1855mm

93kg

10ps

1.3kgm

41km/l

空冷 2サイクル単気筒

6.0l

アドレス

V100

1745mm

83kg

9.0ps

1.1kgm

43km/l

空冷 2サイクル単気筒

6.0l

スペーシー   125

1790mm

106kg

10ps

1.0kgm

43km/l

空冷 4サイクル 単気筒

6.5l

 

これは当時私が作った比較表です。パワーこそ劣りますが、トルクはナンバーワンでした。

 

1998年当時、から一時期、「アドレスV125」の登場までは、このバイクは「豪華で」「速い」バイクだったのです。

 

「燃費」は15~16キロ/Lと悪く、始動性が悪いのも欠点でした。(オートチョークでしたが、なかなか1発始動しませんでした。)

 

そして、なんとも愛らしいのは「市場にはあまり受け入れられなかった」と、言うことでした。「大きすぎるし」「フラットフロアではないし」「音はうるさいし」ということだったのでしょうが、その「希少」ぶりが、なんとも愛おしいバイクです。

 

 

☆最後に極めつけ・・・・・・。

 

なんとこのバイクは同じ外観で50CCが存在してました。

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これはもう希少としか言いようがありません。「造り手」の思いとは別にこの素晴らしいバイクは理解者にだけ愛されながら、静かにアドレスV125(アドレスV50)へとバトンを渡していったのでした。

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見やすいように、ネットから引っ張ろうとしましたが、どこにも見当たらないので、仕方がなく、自前の「UG50サービスマニュアル」からアップしました。やはりこの「UG50アドレス」は『幻のバイク』と言わざるを得ないようですね。いいバイクでも「売れなきゃ」廃番の運命です。(厳しい)