16. 「ホンダ・スーパーカブ」のライバルたち。
さて。キングオブオートバイ「ホンダスーパーカブ」の第二弾。「ホンダスーパーカブ」(スーパーカブのライバルたち)をお送りいたします。 15の(スーパーカブのおもしろい仲間たち)でも前段で書きましたが、「ホンダスーパーカブ」があまりにも偉大すぎて、スーパーカブ本体のことを語るには私のスキルと経験では、数多くのスーパーカブのプロフェッショナルの方々に申し訳なく、また中途半端な情報を書き連ねるのもお恥ずかしい話なので、敢えて、スーパーカブの「周辺について」特化して書いています。
「ヤマハメイト」と「スズキバーディー」
まずは「ヤマハメイト」から・・・。
これは、私が所有していた「ヤマハ・メイトV80D」というモデルです。おそらく代表的なよくよく見かけるメイトの形だと思います。このデザインになるのは1965年からですので「スーパーカブ」生誕が1958年ですから、見た目はそっくりです。
調べてみると、細かいことを言えばフレームの作りもあちこち「スーパーカブ」とは違うのですが一般ユーザーが果たしてそこまで気にして選んでいたとは思えません。
ここでメイトの元祖をご紹介します。
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「ヤマハ・モペットMF-1」と言います。なかなかヤマハらしいオシャレなスタイルだと思います。1960年前後のサスペンション(バネ)の形が今と違いますが、ピカピカのこのバイクなら今でも充分通用しそうなデザインですが、価格は「スーパーカブ」と同じ55000円でしたが、性能は1ランク下のものでした。
このあたりは、ヤマハがホンダの「ロードパル」に対抗した時、当時バカ売れしていた自転車っぽい「ロードパル」のデザインをあえて捨てて、フラットフロアを全面に打ち出した違った方向性のデザインから「パッソル」を発売したヤマハの経緯は、この「MF1」が決して成功しなかった経験から来たものかもしれないと勝手に思いました。
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次に出てきましたのが「メイトU-5」と言う形です。パット見はもう殆ど「スーパーカブ」ですね。しかし各所のデザインを見ると、ヤマハらしい「おしゃれな雰囲気」を強く感じます。
そして今でも「2サイクルエンジン」の燃料は「ガソリン」と「2サイクルオイル」の2つを給油しなければならない面倒な宿命がありますが、これより昔は今で言うところの「ガソリンタンク」に始めから「ガソリンと2サイクルオイルを混ぜたもの」を入れなくてはならず、オイルとガソリンの比率なども考えて入れなければならない手間は面倒なものでした。今でも芝刈り機などは「混合ガソリン」を使いますね。最近では農業系のホームセンターなどでは店頭で見かけます。
この手間を「ガソリン」と「オイル」を別々に入れてもバイクの方で自動で混ぜてくれる機構は大きなウリ文句として使われました。「ヤマハ・オートルーブ」と言います。(スズキですとCCISと言います。)
でも4サイクルエンジンの「スーパーカブ」ならその手間すら必要なくただ「ガソリン」を入れるだけですから、この辺も「スーパーカブ」が便利ですね。
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次に出てきてのが「Vシリーズ」です。これは50CCと70CCでスタートして、その後90CCも登場しますが、その後70CCと90CCが統合されて「V80シリーズ」となります。
この2サイクルのVシリーズは小排気量車ではやはり「走りの力の面」では4サイクルより有利ですが、燃費競争でも排ガス規制でも不利な2サイクルエンジンであるために、このメイトもその後の時代の流れで4サイクルエンジン搭載車が出てくることとなりますが、それでもユーザーの要望によって、2サイクルエンジンも廃止ではなく「併売」して生き残っていきます。乗った感覚で2サイクルエンジンのほうが「力があるな」って感じるのです。原付のような小排気量車では特にそれは顕著に感じられます。
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上の写真の「タウンメイトT50」の登場は1982年。この時代、王者「スーパーカブ」がマイナーチェンジ毎に「燃費攻勢」を仕掛けてきます。1983年の「スーパーカブ50」でついに史上最高の「180km/L(30キロ定値走行時において)」達成車を発表するに至ります。この記録は今も破られていません。この時期はそういう流れの中にあって、ヤマハもスズキも燃費に有利な「4サイクル車」の開発、発売をせざるを得なかったわけです。
ちなみに2021年現在のカブ50のカタログ上の燃費は「105km/L」となっています。走行性能を考えたときに「無難な燃費」に落ち着いたのだと思います。
この時点でもすでに「2サイクル」「4サイクル」が入り乱れてわけがわからなくなってきますので、これからは少し要点をザックリで行きます。
その後この見た目の形を保ちつつもヤマハもスズキも「郵政省」(現日本郵便)の特化したいわゆる「郵政メイト」や新聞配達用に特化した「ニュースメイト」が登場してきます。
より重いくて大きな荷物が積めるように、キャリアを頑丈で大型化しフロントにもかごやバッグを着けられるようにし、より小回りがききやすいように17インチのタイヤを14インチに小さくしたモデルが登場します。
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「タウンメイト90」です。またこの形が一般のファンにウケてこれで山道を走りやすいように改造したりする方たちも登場してきます。ハンターカブの発想ですね。
さてさて、ここまでごちゃ付いた「王者スーパーカブ」の影響力ですが、1994年に、ヤマハがヤマハらしい起死回生の逆転ホームランをかっ飛ばします。
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全く新しい新世代ビジネスバイク「ヤマハ・ギア(GEAR)」の登場です。
これには、ホンダもスズキもひっくり返ったことでしょう。「ギア」と「ベンリイ」に付きましては、「スーパーカブの子どもたち」として第3段でお送りいたします。
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「スズキバーディ90」2001年型最終形態です。だいぶ「スーパーカブ」から遠ざかりましたね。おしゃれとは言いにくいけれどスズキらしい機能的なデザインを感じます。
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ホンダスーパーカブ最新型「C125」です。もう原点回帰と言えるほど見た目は「スーパーカブ」してますよね。
それにしても「スズキのバーディ」(涙、涙・・・)頑張りましたよね。よくぞここまで・・・。
ヤマハもスズキもよく頑張っています。
さて初代、スズキバーディの前の原型は。
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「スズキ・スーパーフリーF50」1969年。まさか30年後に超一流大学のサークルが大事件を巻き起こすとは、「スズキ関係者の方」は夢夢思わなかったでしょう。なんともはや・・・。
まんま「スーパーカブ」ですね。もちろん細かいところにはこだわりを持たれていたでしょうが、「ヤマハ・ギア」登場までは致し方なかった。というかこれはやはり「ホンダ・スーパーカブ」の偉大さの証明でもあると思います。
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次にようやく「バーディ50」登場です(FR50)1971年。ヘッドライト下の黄色いポジションランプが印象的でマニアの中では「行灯(あんどん)」と呼ばれていますが、悲しいかなこの呼称もある一定時期「スーパーカブ」のポジションランプがおんなじデザインで通称「アンドンカブ」と呼ばれている方がメジャーです。
このタイプが、1993年の生産終了までいわゆる「見た目スーパーカブ」系の2サイクルバーディーの代表選手と言えると思います。
ここまで来ると、マニアの方でもない限り、なんだかどれも似たりよったりの形で「オタク族」ならいざしらず、ちょっとしんどくなってきたかと思いますが・・・
しかしもう一台どうしても行かせていただきたいモデルがあります。
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「スズキ・RC50」1990年。「別に普通のバーディーじゃん」とおっしゃる貴方様のためにこのブログを書いています(またか)。プロの方にはほんの少しだけ「お褒め」いただけるかもしれません。またこの「RC50」は上の「行灯バーディー」の上級車種の位置付けで「バーディー」とは呼ばれていませんでした。そして「行灯バーディ」も併売されていたわけです。こういうところがいいですね。
ポイントは白いレッグシールド(泥除け)に見える、5本のスリット。このスリットこそがこのエンジンの「紋所」。興味のお有りの方には「20へえ」くらいいただける代物なのです。
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小さすぎて見にくいのはご勘弁ください。小さな写真の銀色の部分に「JET-COOLED」と刻印されているんです。これはこの裏側にはファンがついていてこの写真で言えば右側から「吸気して」左下へ「熱を」「吐き出す」「強制空冷」を行うもので、エンジンの頭は自然の空気で冷やすけれどお腹の部分は扇風機で強制的に冷やすという「半強制空冷エンジン」というものです。
こういうの大好きです。
スズキは私の「GT380」でも「ラムエアシステム」と言うちょっと凝ったエンジンの冷やし方をする機構がついていて「ぶっ飛ばしても熱ダレしにくい」機構を採用していた会社です。
考えてみても、あの白い泥除けは走っているときは良いだろうけれど、渋滞していたり町中を走ったり止まったりしていたら熱がこもりやすいのは事実でしょう。あの「スリット」はそんな暑い熱を逃がすためのものだったのです。
スリットは当初は5本でしたがマイナーチェンジで3本になりました。マニアの方にはバイクの年代を見た目から判断する材料となっているようです。
さてここからは、もうヤマハの流れと似たような感じで、「郵政バーディー」「新聞配達用バーディ」が生まれ、その形の変化の中から一番初めの写真のもう「スーパーカブ」ではないビジネスバイクの形へと進化したわけでした。