17. 「ホンダ・スーパーカブ」の子どもたち。
さて。キングオブオートバイ「ホンダスーパーカブ」の第3弾。「ホンダスーパーカブ」(スーパーカブの子供たち)をお送りいたします。 15。16の(スーパーカブのおもしろい仲間たち)でも前段で書きましたが、「ホンダスーパーカブ」があまりにも偉大すぎて、スーパーカブ本体のことを語るには私のスキルと経験では、数多くのスーパーカブのプロフェッショナルの方々に申し訳なく、また中途半端な情報を書き連ねるのもお恥ずかしい話なので、敢えて、スーパーカブの「周辺について」特化して書いています。
今回はスーパーカブの子どもたちと題しまして、スーパーカブが世に与えた影響を受けて、またメーカーの思惑の想像も織り交ぜながら、スーパーカブがあったからこそ生まれてきた子どもたちを何台かご紹介いたします。
「ヤマハ・ギア」「ホンダ・ベンリー」「ホンダ・トピック」(番外として)「ホンダ・ジョルカブ」をお届けします。
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1994年発売の「ヤマハ・ギア」です。スクーターの爆発的人気も陰りを見せましたが、それでも世の中に「スクーター」と言うジャンルは間違いなく固定化して、アクセルとブレーキだけの操作で発進から最高速度までカバーできる「Vマチック」(CVT)の一般化によって、王者「スーパーカブ」の左足によるシフトチェンジすら面倒になってきた時、仕事で頻繁にゴー・ストップを繰り返す「新聞配達」や「郵便のお仕事」の方たちにとって、左足でギヤチェンジしなくてもいい「スクーター」のような業務車があったら便利なのになあ・・・。と言う希望はあったはずです。
こういう声はメーカーにも絶対に届いていたはずで、王者スーパーカブの牙城を切り崩す絶好の機会の一つでもあったと思います。
そんな中、ホンダとヤマハはまたまた開発競争となり、王者の牙城を崩したいヤマハがまず先に1994年この「ギア」を登場させました。
スクーターにより近いデザインとするために「フラットフロア」(足を置くところが平面)を取り入れながら3本のフレームで通常の2倍の剛性強度をもたせ、前後のバネも重量物を載せてもしっかり機能する油圧バネを採用し、リヤのキャリアの場所は平面にしてなおデッキの高さを620mmとして積み下ろしをしやすくし、(「ヤマハメイト」の荷台の高さは710mmでした)ホイールは小回りの利くフロント12インチ、リヤは幅広の丈夫な10インチタイヤとし、ホイールは放熱効果の高い「アルミホイール」とし、またフロントにバスケットを取り付ける時はフロントに載せた荷物(新聞など)の重さでハンドルに影響が出ないようにボディに直接マウントできるようにし、駐車スタンドを楽にスタンド掛けと解除がしやすい装備車を設定。さらに会社名や店名を入れやすくボディカラーを「白一色」にした。
前の方でちらっと書きましたが、かくいうワタクシメも16歳から19歳半ばまで新聞配達少年で「スズキ・バーディ50」をメインに時々「スーパーカブ90」を使っていましたので、上記に書き出した「ヤマハ・ギア」の特徴は、全く今までの「スーパーカブ系ビジネスバイク」の欠点をすべて解決した乗り物になっていたのです。特にフロントのかごに新聞満載(配り始めてすぐの時間帯)のときはハンドルが超重くなってとても危険な状況に毎日なっていたのでした。
発売当初私も含めて猜疑的だった市場もその扱いやすさに徐々に「スーパーカブ系ビジネスバイク」から取って代わられるようになったと思います。
ホンダもおそらく情報は入手していただろうし市場のニーズもおそらく研究済みだったと思います。
翌年1995年にようやくホンダからも「スクーター型ビジネスバイク」が出ました。
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「ホンダ・トピック」・・・話題???う~~ん「ギアにそっくり」ホンダからしたら悔しかったに違いないと思います。しかしギアの翌年追いかけるようにこのバイクが世に出たということは、王者「スーパーカブ」の欠点をよく研究し尽くした「ヤマハ・ギア」の優秀性を認め、依然王者の風格を保っている「スーパーカブ」の欠点をカバーしたこのタイプを出すホンダの柔軟性にも感心します。と思っていましたが・・・・
しかし、このモデルは2003年に生産中止となり第一次HY戦争「ビジネススクーターの乱」はヤマハに軍配が上がったように思えます。
その後この手の市場は当初は2台共、力の出やすい「2ストロークエンジン」でしたが、ホンダは2003年生産中止。ヤマハは2007年にインジェクションを装備した「4ストロークエンジン」になりました。
さて・・、ホンダもじっくり腰を据えて研究し直したのたのか、ギアの牙城を切りくずさんと2011年「ホンダ・ベンリイ」が満を持して登場します。
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「ホンダ・ベンリイ 50. 110」
「トピック」のときは付け焼き刃感が否めませんでしたが、さすがはホンダさん。今回はとても「ホンダさん」らしい独自性がありながらどっしり感があるデザインになりましたね。
そしてこの「ベンリイ」と言うネーミングからホンダの並々ならぬ自信とやる気を感じます。ホンダの中で「ベンリイ」と「ドリーム」と言うネーミングは満を持して出す自信作や定番のシリーズとして排気量を超えて名付けられるネーミングで「ドリーム」が「ホンダドリームCB750」に代表される大型車クラスのネーミング。「ドリーム50」なんていうのもありますが、これは「手軽に使える仕事用バイク」とは反対の「走り」とか「所有する喜び」とか「高い技術を製品化した」モデルに与えられるもので「ドリーム50」などは50CC原付バイクに4バルブDOHCエンジンを載せた「高価な原付」バイクだったりするわけです。
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これが「ドリーム50」です。なんかカッコいいけど「見るだけでいい・・」って感じ。
しかし「ベンリイ」は違うのです「身近」で「もっと便利に使ってもらいたい」「このバイクがあったら便利ですよ」から来ているわけで、ホンダがこのバイクに「ベンリイ」を付けたことは、ホンダのこのバイクに対する並々ならぬ本気度を感じます。
また時代の流れではありますがこのバイク「ホンダ・ベンリイ」は「中国ホンダ」(チャイナ)が生産し、これを「本家ホンダ」が「輸入販売」する形をとっています。
大きな違いは110CCの設定があることでしょう。やはり原付1種(50CCのみ)と2種(125CCクラス」には大きな差があると思います。免許さえあれば2種のほうが圧倒的に有利な感じがします。いずれはヤマハも黙ってはいないはずですが今の所「ヤマハ・ギア」は50CCのみしかありません。
Yギア | Hトピック | Hベンリイ50 | Hベンリイ110 | |
価格 | 210000~ | 185000~ | 220000~ | 260000~ |
全長 | 1850mm | 1850mm | 1845mm | 1845mm |
車重 | 98kg | 91kg | 110kg | 120kg |
パワー | 4.3ps | 5.5ps | 4.4ps | 7.9ps |
トルク | 0.42kg・m | 0.64kg・m | 0.43kg・m | 0.88kg・m |
燃料タンク | 7.5L | 5.4L | 10L | 10L |
Fタイヤ | 12インチ | 12インチ | 12インチ | 12インチ |
Rタイヤ | 10インチ | 12インチ | 10インチ | 10インチ |
荷台高さ | 620mm | 620mm | 620mm | 620mm |
荷台耐荷重 | 20kg | 30kg | 30kg | 60kg |
燃料供給 | インジェクション | キャブレター | インジェクション | インジェクション |
生産国 | 日本 | 日本 | 中国 | 中国 |
燃費 | 66.9km/L | 48km/L | 65.2km/L | 53.0km/L |
さて、一覧表です。改めて見直すと「トピック」は付け焼き刃感アリアリです。デザインもよくよく見るとはっきりした理由のもとにデザインされた「ヤマハ・ギヤ」とは違い、あくまでスクーターを元に「ギヤ」を参考にして寸法合わせ?した雰囲気が感じられます。「ベンリイ」になってようやくホンダとしての「ビジネススクーター」バイクになった気がします。しかしみんな重いですね。フレームの剛性アップの影響ですね。
例えば、新聞配達仕様のプレスカブは87kgでした。さすがっす。
最後にもう一台ご紹介。これも知る人ぞ知る「ジョルカブ」です。
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これのどこが?カブと関係あるのか??ですが、少し見にくいかもしれませんが、左足を置くところをご注目ください。
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これはカブのシーソー式と言われるシフトレバーでこれを左足で普通は前を踏むと「シフトアップ」後ろを踏むと「シフトダウン」します。しかしこれも車種によってまちまちでこの形のシフトレバーの操作が一律では有りません。
話を戻しますが、上の「ジョルカブ」の左足を置くところには、このレバーが見えると思います。
普通のスクーターは無段変速になっていて、アクセルをひねれば、スタートから最高速までカバーしますからこの「シーソー式シフトレバー」は付いていません。スーパーカブ系はクラッチの操作は有りませんがギヤチェンジの操作はしなければいけません。これが面倒な人には辛い操作だし、私のような「シフト操作」が大好きでこれをガチャガチャやりながら町中を走り回るのが大好きだった人もいます。
「ジョルカブ」の元は「ジョルノ」と言います。
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なんとも可愛らしい素敵なスクーターです。写真では見えませんんが、もちろんこの「ジョルノ」の左足を置く場所には何も付いていません。真っ平らです。
つまり「ジョルカブ」は「ジョルノ」のオシャレな見た目で「カブ」のようにシフトをガチャガチャ自分でチェンジしながら走りたい人向けに発売されたバイクなのです。
名前も「ジョルノ」+「スーパーカブ」=「ジョルカブ」
よくぞ、こういうバイクを作って売ってくれます。ありがたいことです。希少価値の高いバイクなので、中古車もお高いですが、ファンクラブなどもあるようで、私のようなタイプ(ガチャガチャやりたい)の方に支えられているようです。
そして何よりこのバイクの素晴らしいところは「カブのマネしたシーソー式レバー」をただ取り付けただけではなくて、カブの「エンジン+ミッション」をそのまま載せた(たった一台のスクーターために変速ギヤの設計を新しくするわけには行かない)わけで、その一番の恩恵は「燃費性能」にあります。王者「スーパーカブ」の得意科目の一つが「燃費」ですから。大元のジョルノは可愛いけれど燃費は58.4km/Lがカタログ値ですが、「ジョルカブ」は110km/Lなのです。これは全スクーターの中で一番です。
しかしながらこのバイクは無理な要望を無理に叶えたバイクなので「整備性」が極めて悪くプロ泣かせなバイクでも有名のようです。