12. ホンダ・モンキー
ああ・・ついに、避けては通れない難問記事に挑戦です。汗。
もう一番はじめに、平謝りでお詫びいたします。『この世の「カブ」「モンキー」フリークや大ファンの方々や仕事で生業にされていらっしゃる多くのプロの方がた』大変に申し訳ございません。
私はただの「原付きバイクが大好きな、ど素人」に過ぎません。偉大な「カブ」「モンキー」についてブログを書くほどの知識も経験もないです。乗ったことがある程度で所有していたことも有りません。しかしながら「原付大辞典」を謳うからにはこの2台の名車について語らないわけにはいかないと思うのです。
まずは、この「懐かしの原付バイク大辞典」が、バイクに乗ったことの無い方や、乗り始めたばかりの方、また普段の足として使っているけどメカや歴史や他の原付バイクなどにはあまり興味はないという方や、バイクなんか全く興味がない、むしろバイクなんか危なくて大嫌いだ。という方に向かって書いているつもりなのです。そういう方たちが、もしかしたら何かのきっかけでバイクを好きになってくれるかもしれない・・・。そんな思いで書いています。
だってバイクに詳しい方は世の中にゴマンといらっしゃるし、その中でも、この名車「カブ」「モンキー」を語るというのは、故野村克也様に「野球について語る」ようなもの。
そのために、なるべく「モンキー」なんて「名前しか聞いたことが無い」言う方に「わかりやすく」「簡単に」「表面的に説明する」形を取ろうと思います。
また、いろんな見た目のモデルがあるので「こんな形もあったのですよ」と言うモデルの違いを主体に書こうと思います。
「カブ」と「モンキー」どちらにしようか悩みましたが、やはり「カブ」を書く勇気がなく(あまりに歴史も古く、深いので)まずは「モンキー」から行ってみます。
前置きが長くなりましたが、よろしくお願いいたします。またこれを書くのについて英知出版社様の1995年発売の「絶版車ガイド」(大事に持っていました)と株式会社マガジンボックス様の「原付バイクと青春時代」を参考にさせていただきました。
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普通みなさんが思い浮かべるモンキーはこれだと思います。しかし今、このモンキーは新車で買えません。生産中止になっているからです。1967年発売の「Z50M」から50年、2017年にモンキーは生産中止となりました。その少し前からは「アニバーサリー限定車」と言う企画販売がいくつもあってその時も「バカ売れ」しましたが、調べてみるとなんと2000年頃からこの「アニバーサリー特別限定販売」方式はかなり頻繁に行われていてモンキーについては何か「黙っていては売れない」「きっかけ売リ」が定番となっていたようです。
確かにモンキーは小さいので「特別仕様」を作りやすく、また特別仕様を販売することでその個体が中古になっても「市場価格」を高値維持できるメリットがあります。
最終発売の限定500台には、なんと45000人の応募があったそうです。すごすぎる。
惜しまれて生産中止となったモンキーですが翌年の2018年にナント!「モンキー125」で復活を果たします。
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モンキーのイメージを絶対に崩さずに125CCのエンジンが乗るように見事にスケールアップされたデザインです。
モンキー | モンキー | |
125 | 50 | |
全長 | 1710 | 1365 |
全幅 | 755 | 600 |
全高 | 1030 | 850 |
シート高 | 775 | 660 |
車重 | 107 | 68 |
定員 | 1 | 1 |
燃費 | 71km/L | 100km/L |
馬力 | 9.4ps | 3.4ps |
燃料供給 | インジェクション | インジェクション |
燃料タンク | 5.6L | 4.3L |
変速機 | 4速MT | 4速MT/AT |
ブレーキ前 | ディスク | ドラム |
ブレーキ後 | ディスク | ドラム |
タイヤ | 12インチ | 8インチ |
メーター | デジタル | アナログ |
ライト | LED | 電球 |
価格 | 407000 | 276000~ |
ここで比較表を見てみましょう。面白いことがいくつかわかります。まず「シート高」にご注目「50」が660mmに対し「125」は775mmあります。この高さは660mmはミニバイクのしかも小さいバイクのレベルそのもの(小さいスクーターのハミングと同じ)ですが、775mmというのは原付バイクの中でも「低い方ではない」むしろフルサイズバイクの低いシート高って感じで、「モンキー=ちびバイク」ではなくなったのがわかります。
次に見ていただきたいのは「定員」です。両方とも1名。「50」はもともと「2人のり」は出来ませんからわかりますが、「モンキー125」は原付2種(125クラス)なので法的には長いシートがあって後ろの人が足を乗せるところがついていれば「2人乗り」は可能なはずです。
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「TL125」これは私の大好きなバイクですが、ご覧のように「山を走る」事を得意としたバイクです。しかもこのバイクは「トライアルバイク」と言って山道を「ぶっ飛ばす」のではなく「崖を登ったり」「岩を乗り越えたり」するのに適したバイクなので本来なら「一人乗り」でよいわけです。ところがこのTL125は後ろのスプリングバネの右横あたりに「後ろの人が足を乗せる」ステップが「折りたたんである」のが見えます。
つまりこんな「岩の上をよじ登る」ようなバイクであっても装備があれば「2人のり」が可能なわけで、現にこのTL125は「岩の上もよじ登れるし」「町中では2人乗りも出来ます」ということをウリ文句にしているわけです。
本来レジャーバイクである「モンキー125」が何故「1人乗り」なのか・・・・・。
それは「2人乗りの装備」を着けてしまうと「デザイン」がおかしくなってしまう。ということからだそうで、長年に渡り愛され続けてきた「モンキー50」のデザインイメージを壊したくなかった。ということだそうです。「利便性」より「イメージ」を大切にした結果だったのです。「造り手の思い」素晴らしいですよね。
次に「馬力」を見てみましょう。「50」の3.4psというのは典型的な原付50CCファミリーバイクのそれであり、平均的な馬力です。しかし「125」の9.4psというのは50CC~125CCクラスの原付2種の中では「アドレス110」の記事の表を見て分かる通り
|
全長 |
車重 |
出力 |
トルク |
燃費 |
エンジン |
燃料 タンク |
シグナス125SV |
1800mm |
101kg |
10ps |
1.0kgm |
41km/l |
空冷 4サイクル単気筒 |
6.5l |
シグナス125D |
1860mm |
104kg |
10ps |
1.0kgm |
55km/l |
空冷 4サイクル 単気筒 |
7.8l |
グランドアクシス100 |
1850mm |
90kg |
10ps |
1.1kgm |
39km/l |
空冷 2サイクル単気筒 |
6.5l |
ヴェクスター 125 |
1910mm |
104kg |
12ps |
1.2kgm |
54km/l |
空冷 4サイクル 単気筒 |
8.0l |
アドレス 110 |
1855mm |
93kg |
10ps |
1.3kgm |
41km/l |
空冷 2サイクル単気筒 |
6.0l |
アドレス V100 |
1745mm |
83kg |
9.0ps |
1.1kgm |
43km/l |
空冷 2サイクル単気筒 |
6.0l |
スペーシー 125 |
1790mm |
106kg |
10ps |
1.0kgm |
43km/l |
空冷 4サイクル 単気筒 |
6.5l |
当時通勤快速と謳われた「アドレスV100」で9.0ps,、2010年製の「アドレスV125」で、9.9ps、であったことを考えるとこの「モンキー125」の9.4psというのは、なかなかの「高馬力」と言え、実際いくつかの雑誌の「インプレッション記事」を読んでも「走りに不満なし」と言う記事が一般的です。
「モンキー50」ではやはりレジャーバイク、ファミリーバイクの仲間であり「30キロ」の制約もあるので、どうしても走りに不満が有りました。
実際に昔のモンキー50に乗ってみても「何だ!この原付!速い~~~」って感覚はなく、全く「普通の原付」って感じでしたが、それはモンキーにとっては、「速さ」は必要ではなくその小ささからくる「可愛らしさ」のほうが重要でした。
また「改造」を趣味にしたり、「改造」を生業にしている方にとって格好の「材料」でもあったわけでそれで良かったのです。
つぎに「変速機」を見るとまた面白い事がわかります「125」の4速ギヤ付きマニュアルは、「初めてバイクに乗る人」用ではなくて、「ギヤ付きバイク」を乗りこなしてきた方がモンキー50も含めた、いままでバイクに色々乗ってこられた方に「たどり着いてほしい」バイクの位置づけナノではないか?と思います。
また「時代の変化」が大きな要因にもなっています。現在はスクーターがその市民権を持って125CCスクーター市場は「ホンダPCX」の大ヒットもあって、運転免許証にしても「AT免許」なるものが自動車の世界でも当たり前で、この125CCクラスでさえ「AT免許」があるとなるとわたしが若い頃のように「マニュアル」=「速い」「AT」=「遅い」。「マニュアル(ギヤ付き)」=カッコいい、「AT」=「ダサい」なんてことは、今は全くなくなり4輪乗用車の世界では「AT」=当たり前、「ギヤ付き(マニュアル)」=珍しい。となっています。(ちょっと偏見入っているかもです。ごめんなさい。)
原付クラスのバイクでも「ギヤ付き」=「速い」「ギヤなし(AT)」=遅い、と言う時代から「アドレスV100」登場あたりからはもう「ギヤ付きバイクよりスクーターのほうが速い」と言う時代になりました。
が!しかし!(声を大にして)車はもう公道を「ぶっ飛ばして走る」なんて時代ではなくなりました。どこへ行っても高速道路でも車の数が増えてしまい「飛ばしようがない」のが現実です。乗用車は渋滞でも「運転操作」が楽なATが主流なのは時代の流れです。
バイクでも当然それはあると思いますが、その一方で「ギヤ付き車」にはバイクや車を「操る」「操縦する」醍醐味があります。この「楽しみは」初めて「ギヤ付き車」に触れてクラッチの難しく煩雑な操作を「四苦八苦」して覚え、ようやくバイクを乗りこなせる様になり、4輪では「レース」に憧れて「ヒール&トウ」(レース専用のギヤチェンジの操作方法)の練習を必死でやった思い出がある世代には、今の時代は全く「今は昔・・・昭和は平成を飛び越えて遠くなりにけり」ですね。
横道ごめんなさい・・・・・・。
モンキーも発売当初は「AT3速」でした。誰にも手軽に乗れる「レジャーバイク」としてのキャラですから当然ですが、発売から10年も立つとだんだんモンキーもその個性が「薄くなり」ホンダからは新しい兄弟が出ました。
「ホンダ・ゴリラ」です。見た感じモンキーのタンクが大きくなっただけのバイクに見えますが、違いはタンクだけでは有りません。モンキー50は「車載目的」(車に積んでいって目的地で下ろして遊ぶ)のためにハンドルが折り畳める装備が有りましたが、ゴリラはそれが有りません。ハンドルの前とシートの後ろに「キャリヤ」が付きました。シート自体が大きくなりました。
これは「ゴリラ」が「車載」して現地で下ろして使うのではなく、「このバイク」でそのまま「遠出」してください。という思いが込められています。そしてその「変速機」も「50」の「3速AT」から「ギヤ付き4速」になったのです。
そしてこの時期「モンキー50」も、「3速AT」だけではなく「4速ギヤ付き」を同時設定して「変速方法」を選べるようになりました。その後は「3速AT」がなくなり、変速機の主流は「4速ギヤ付き」へとなっていきます。
3速より4速のほうが「燃費」も稼げて「巡航」するときに静かに走れるからではないかと思います。じゃスーパーカブのような4速ATにしたら??ということもありますが、そこは「運転操作する楽しさ」というのがバイクにはまだ残っているのかな?と思います。モンキーには「乗っていて楽しい」と言う使命もあると思うのです。
灯火類は「ヘッドライト」「ウインカー」「ブレーキランプ」みんな125では「LED」になりました。最近のバイクではもう当たり前ですね。
さて「価格について」ですが・・・。
まずモンキー50から。1967年初登場の「モンキーZ50M」の新車価格は63,000円でした。2017年最後の特別限定車は、400,000円です。比較表に276000~と載せたのは、この価格販売のあとから「アニバーサリー特別仕様車」の「モンキー閉店セール」が始まり、「特別仕様車」が出るたびに価格は暴騰していくからです。
「モンキー50」の価格変化は後で表を乗せますが、ここでは「モンキー125」の400000円について話します。現在の他の125CCクラスの新車価格が参考になりますよね。
新車販売価格 | |||
モンキー125 | 407000 | ||
スーパーカブ110 | 280500 | ||
スーパーカブC125 | 407000 | ||
スーパーカブ50 | 236500 | ||
PCX125 | 357500 | ||
ハンターカブ125 | 440000 | ||
クロスカブ110 | 341000 | ||
GSXR125 | 415800 | ||
ZX-25R | 825000 | ||
DIO110 | 242000 |
ちょっと説明が必要ですね。
「GSX125R」はスズキのレーシングバイクの形の125CCです。
「ZX-25R」というのは、バイク全体の中でも今一番売れているカワサキの250CCのバイクです。
「DIO110」とういのはホンダのお手軽125CCスクーターです。
ため息が出ます。1977年大昔のスズキのバイク・・我が「GT380」は¥300000でした。
もう一つの説明は「カブ」と「ハンターカブ」は125と110が併売されています。110が古い型で125が新設計の新型車です「モンキー125」はこの「新設計新型車」の仲間であることがわかります。
最後に「この偉大なモンキーの歴史」について話しますが、サラッとしかやりません。モンキーは大変な名車であって、今更私が語るでもなく、多くの大先輩やプロの方が語っているので「私ごときが・・」って感じが強いのです。このアップすら、できるなら避けて通りたい気持ちなのです。それほどのモンキーは「名車」であるわけです。
最後に年代別のモンキーの一覧表です
発売日 | 形式 | 特記 | 価格 | ||||
1961年 | Z100 | 遊園地のおもちゃとして子供用に誕生。市販はされず | |||||
1963年 | CZ100 | 輸出用に発売。国内市販はされず。 | |||||
1967年 | Z50M | 国内発売開始 | 63000円 | ||||
1969年 | Z50A | 前輪にサスペンションが付く。タイヤ8インチに大きくなる | 63000円 | ||||
1970年 | Z50Z | 車体前後が2つに分離できる(車載用)後ブレーキ足踏み式に | 63000円 | ||||
1974年 | Z50J | 後輪サスペンション付く。リヤキャリヤ付く。ブロックタイヤ付く。 | 79000円 | ||||
1978年 | Z50J | シート、タンク変更、タンク 5L になる | 100000円 | ||||
1979年 | Z50J | 初のシルバーメッキ限定車。3ATと4MT併売 | 130000円 | ||||
1981年 | Z50J | ブラック/ゴールド登場。4MT廃止 | 109000円 | ||||
1984年 | Z50J | ゴールドメッキ5000台限定車 | 139000円 | ||||
1985年 | Z50J | 2.6psから3.1psへ | 119000円 | ||||
1987年 | モンキーR | 4.5psフロントディスクブレーキ | 159000円 | ||||
1988年 | Z50J | ホワイトモンキー特別仕様車 | 125000円 | ||||
1988年 | モンキーRT | Rのアップハンドル版 | 165000円 | ||||
1990年 | Z50J | ブラックモンキー 1部ディ-ラーのみ限定モデル | 132000円 | ||||
1991年 | BAJAバハ | 2灯ヘッドライト、ナックルガード | 159000円 | ||||
1992年 | Z50J | 12V化、CDI点火方式 | 169000円 | ||||
1995年 | Z50J | タンクエンブレム立体式 | 189000円 | ||||
1996年 | Z50J | ゴールドモンキー、リミテッド | 189000円 | ||||
1997年 | Z50J | チェック柄シート | 199000円 | ||||
1999年 | Z50J | 排ガス規制に対応車 | 191000円 | ||||
2000年 | Z50J | Z50Zカラー | 199000円 | ||||
2001年 | Z50J | トリコロールカラー | 199000円 | ||||
2002年 | Z50J | CB750カラー | 199000円 | ||||
2003年 | Z50J | CBX400Fカラー | 199000円 | ||||
2004年 | Z50J | CB750Fフレディ・スペンサーカラー | 200000円 | ||||
2005年 | Z50J | クラシカル2色カラー | 195000円 | ||||
2006年 | Z50J | Z50Mカラー | 205000円 | ||||
2009年 | Z50J | 3.1psから3.4psへアップ。インジェクション化 | 295000円 | ||||
2011年 | Z50J | ブラックリミテッド | 285000円 | ||||
2012年 | Z50J | プラズマイエロー | 276000円 | ||||
2014年 | Z50J | くまモンバージョン | 312000円 | ||||
2016年 | Z50J | アドベンチャー専用装備 | 312000円 | ||||
2017年 | Z50J | 50周年アニバーサリー | 326000円 | ||||
2017年 | Z50J | 最終50周年スペシャル500台限定 | 400000円 |
2014年辺りからの暴騰が目に付きますね。50年にわたり、多くの人に愛された背景には「ホンダ」の「顧客の要望に答える」という熱い気持ちが伺えます。
ここで一覧表に出てくる「派生モンキーの見た目」を見てみましょう。
1987年「モンキーR」
bikebros.co.jp
1988年「モンキーRT」
webike.net
1991年「モンキーBAJAバハ」
bikebros.co.jp
1979年「モンキー・ダビットソン」50CC
motor-fan.jp
(このバイクだけはバイク部品メーカー「キジマ」さんのオリジナルパーツを着けた特殊車両です)
ここまでお付き合いくださったあなたは、真の「モンキーフリーク」と言えると思います。ありがとうございました。