17. 「ホンダ・スーパーカブ」の子どもたち。
さて。キングオブオートバイ「ホンダスーパーカブ」の第3弾。「ホンダスーパーカブ」(スーパーカブの子供たち)をお送りいたします。 15。16の(スーパーカブのおもしろい仲間たち)でも前段で書きましたが、「ホンダスーパーカブ」があまりにも偉大すぎて、スーパーカブ本体のことを語るには私のスキルと経験では、数多くのスーパーカブのプロフェッショナルの方々に申し訳なく、また中途半端な情報を書き連ねるのもお恥ずかしい話なので、敢えて、スーパーカブの「周辺について」特化して書いています。
今回はスーパーカブの子どもたちと題しまして、スーパーカブが世に与えた影響を受けて、またメーカーの思惑の想像も織り交ぜながら、スーパーカブがあったからこそ生まれてきた子どもたちを何台かご紹介いたします。
「ヤマハ・ギア」「ホンダ・ベンリー」「ホンダ・トピック」(番外として)「ホンダ・ジョルカブ」をお届けします。
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1994年発売の「ヤマハ・ギア」です。スクーターの爆発的人気も陰りを見せましたが、それでも世の中に「スクーター」と言うジャンルは間違いなく固定化して、アクセルとブレーキだけの操作で発進から最高速度までカバーできる「Vマチック」(CVT)の一般化によって、王者「スーパーカブ」の左足によるシフトチェンジすら面倒になってきた時、仕事で頻繁にゴー・ストップを繰り返す「新聞配達」や「郵便のお仕事」の方たちにとって、左足でギヤチェンジしなくてもいい「スクーター」のような業務車があったら便利なのになあ・・・。と言う希望はあったはずです。
こういう声はメーカーにも絶対に届いていたはずで、王者スーパーカブの牙城を切り崩す絶好の機会の一つでもあったと思います。
そんな中、ホンダとヤマハはまたまた開発競争となり、王者の牙城を崩したいヤマハがまず先に1994年この「ギア」を登場させました。
スクーターにより近いデザインとするために「フラットフロア」(足を置くところが平面)を取り入れながら3本のフレームで通常の2倍の剛性強度をもたせ、前後のバネも重量物を載せてもしっかり機能する油圧バネを採用し、リヤのキャリアの場所は平面にしてなおデッキの高さを620mmとして積み下ろしをしやすくし、(「ヤマハメイト」の荷台の高さは710mmでした)ホイールは小回りの利くフロント12インチ、リヤは幅広の丈夫な10インチタイヤとし、ホイールは放熱効果の高い「アルミホイール」とし、またフロントにバスケットを取り付ける時はフロントに載せた荷物(新聞など)の重さでハンドルに影響が出ないようにボディに直接マウントできるようにし、駐車スタンドを楽にスタンド掛けと解除がしやすい装備車を設定。さらに会社名や店名を入れやすくボディカラーを「白一色」にした。
前の方でちらっと書きましたが、かくいうワタクシメも16歳から19歳半ばまで新聞配達少年で「スズキ・バーディ50」をメインに時々「スーパーカブ90」を使っていましたので、上記に書き出した「ヤマハ・ギア」の特徴は、全く今までの「スーパーカブ系ビジネスバイク」の欠点をすべて解決した乗り物になっていたのです。特にフロントのかごに新聞満載(配り始めてすぐの時間帯)のときはハンドルが超重くなってとても危険な状況に毎日なっていたのでした。
発売当初私も含めて猜疑的だった市場もその扱いやすさに徐々に「スーパーカブ系ビジネスバイク」から取って代わられるようになったと思います。
ホンダもおそらく情報は入手していただろうし市場のニーズもおそらく研究済みだったと思います。
翌年1995年にようやくホンダからも「スクーター型ビジネスバイク」が出ました。
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「ホンダ・トピック」・・・話題???う~~ん「ギアにそっくり」ホンダからしたら悔しかったに違いないと思います。しかしギアの翌年追いかけるようにこのバイクが世に出たということは、王者「スーパーカブ」の欠点をよく研究し尽くした「ヤマハ・ギア」の優秀性を認め、依然王者の風格を保っている「スーパーカブ」の欠点をカバーしたこのタイプを出すホンダの柔軟性にも感心します。と思っていましたが・・・・
しかし、このモデルは2003年に生産中止となり第一次HY戦争「ビジネススクーターの乱」はヤマハに軍配が上がったように思えます。
その後この手の市場は当初は2台共、力の出やすい「2ストロークエンジン」でしたが、ホンダは2003年生産中止。ヤマハは2007年にインジェクションを装備した「4ストロークエンジン」になりました。
さて・・、ホンダもじっくり腰を据えて研究し直したのたのか、ギアの牙城を切りくずさんと2011年「ホンダ・ベンリイ」が満を持して登場します。
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「ホンダ・ベンリイ 50. 110」
「トピック」のときは付け焼き刃感が否めませんでしたが、さすがはホンダさん。今回はとても「ホンダさん」らしい独自性がありながらどっしり感があるデザインになりましたね。
そしてこの「ベンリイ」と言うネーミングからホンダの並々ならぬ自信とやる気を感じます。ホンダの中で「ベンリイ」と「ドリーム」と言うネーミングは満を持して出す自信作や定番のシリーズとして排気量を超えて名付けられるネーミングで「ドリーム」が「ホンダドリームCB750」に代表される大型車クラスのネーミング。「ドリーム50」なんていうのもありますが、これは「手軽に使える仕事用バイク」とは反対の「走り」とか「所有する喜び」とか「高い技術を製品化した」モデルに与えられるもので「ドリーム50」などは50CC原付バイクに4バルブDOHCエンジンを載せた「高価な原付」バイクだったりするわけです。
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これが「ドリーム50」です。なんかカッコいいけど「見るだけでいい・・」って感じ。
しかし「ベンリイ」は違うのです「身近」で「もっと便利に使ってもらいたい」「このバイクがあったら便利ですよ」から来ているわけで、ホンダがこのバイクに「ベンリイ」を付けたことは、ホンダのこのバイクに対する並々ならぬ本気度を感じます。
また時代の流れではありますがこのバイク「ホンダ・ベンリイ」は「中国ホンダ」(チャイナ)が生産し、これを「本家ホンダ」が「輸入販売」する形をとっています。
大きな違いは110CCの設定があることでしょう。やはり原付1種(50CCのみ)と2種(125CCクラス」には大きな差があると思います。免許さえあれば2種のほうが圧倒的に有利な感じがします。いずれはヤマハも黙ってはいないはずですが今の所「ヤマハ・ギア」は50CCのみしかありません。
Yギア | Hトピック | Hベンリイ50 | Hベンリイ110 | |
価格 | 210000~ | 185000~ | 220000~ | 260000~ |
全長 | 1850mm | 1850mm | 1845mm | 1845mm |
車重 | 98kg | 91kg | 110kg | 120kg |
パワー | 4.3ps | 5.5ps | 4.4ps | 7.9ps |
トルク | 0.42kg・m | 0.64kg・m | 0.43kg・m | 0.88kg・m |
燃料タンク | 7.5L | 5.4L | 10L | 10L |
Fタイヤ | 12インチ | 12インチ | 12インチ | 12インチ |
Rタイヤ | 10インチ | 12インチ | 10インチ | 10インチ |
荷台高さ | 620mm | 620mm | 620mm | 620mm |
荷台耐荷重 | 20kg | 30kg | 30kg | 60kg |
燃料供給 | インジェクション | キャブレター | インジェクション | インジェクション |
生産国 | 日本 | 日本 | 中国 | 中国 |
燃費 | 66.9km/L | 48km/L | 65.2km/L | 53.0km/L |
さて、一覧表です。改めて見直すと「トピック」は付け焼き刃感アリアリです。デザインもよくよく見るとはっきりした理由のもとにデザインされた「ヤマハ・ギヤ」とは違い、あくまでスクーターを元に「ギヤ」を参考にして寸法合わせ?した雰囲気が感じられます。「ベンリイ」になってようやくホンダとしての「ビジネススクーター」バイクになった気がします。しかしみんな重いですね。フレームの剛性アップの影響ですね。
例えば、新聞配達仕様のプレスカブは87kgでした。さすがっす。
最後にもう一台ご紹介。これも知る人ぞ知る「ジョルカブ」です。
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これのどこが?カブと関係あるのか??ですが、少し見にくいかもしれませんが、左足を置くところをご注目ください。
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これはカブのシーソー式と言われるシフトレバーでこれを左足で普通は前を踏むと「シフトアップ」後ろを踏むと「シフトダウン」します。しかしこれも車種によってまちまちでこの形のシフトレバーの操作が一律では有りません。
話を戻しますが、上の「ジョルカブ」の左足を置くところには、このレバーが見えると思います。
普通のスクーターは無段変速になっていて、アクセルをひねれば、スタートから最高速までカバーしますからこの「シーソー式シフトレバー」は付いていません。スーパーカブ系はクラッチの操作は有りませんがギヤチェンジの操作はしなければいけません。これが面倒な人には辛い操作だし、私のような「シフト操作」が大好きでこれをガチャガチャやりながら町中を走り回るのが大好きだった人もいます。
「ジョルカブ」の元は「ジョルノ」と言います。
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なんとも可愛らしい素敵なスクーターです。写真では見えませんんが、もちろんこの「ジョルノ」の左足を置く場所には何も付いていません。真っ平らです。
つまり「ジョルカブ」は「ジョルノ」のオシャレな見た目で「カブ」のようにシフトをガチャガチャ自分でチェンジしながら走りたい人向けに発売されたバイクなのです。
名前も「ジョルノ」+「スーパーカブ」=「ジョルカブ」
よくぞ、こういうバイクを作って売ってくれます。ありがたいことです。希少価値の高いバイクなので、中古車もお高いですが、ファンクラブなどもあるようで、私のようなタイプ(ガチャガチャやりたい)の方に支えられているようです。
そして何よりこのバイクの素晴らしいところは「カブのマネしたシーソー式レバー」をただ取り付けただけではなくて、カブの「エンジン+ミッション」をそのまま載せた(たった一台のスクーターために変速ギヤの設計を新しくするわけには行かない)わけで、その一番の恩恵は「燃費性能」にあります。王者「スーパーカブ」の得意科目の一つが「燃費」ですから。大元のジョルノは可愛いけれど燃費は58.4km/Lがカタログ値ですが、「ジョルカブ」は110km/Lなのです。これは全スクーターの中で一番です。
しかしながらこのバイクは無理な要望を無理に叶えたバイクなので「整備性」が極めて悪くプロ泣かせなバイクでも有名のようです。
16. 「ホンダ・スーパーカブ」のライバルたち。
さて。キングオブオートバイ「ホンダスーパーカブ」の第二弾。「ホンダスーパーカブ」(スーパーカブのライバルたち)をお送りいたします。 15の(スーパーカブのおもしろい仲間たち)でも前段で書きましたが、「ホンダスーパーカブ」があまりにも偉大すぎて、スーパーカブ本体のことを語るには私のスキルと経験では、数多くのスーパーカブのプロフェッショナルの方々に申し訳なく、また中途半端な情報を書き連ねるのもお恥ずかしい話なので、敢えて、スーパーカブの「周辺について」特化して書いています。
「ヤマハメイト」と「スズキバーディー」
まずは「ヤマハメイト」から・・・。
これは、私が所有していた「ヤマハ・メイトV80D」というモデルです。おそらく代表的なよくよく見かけるメイトの形だと思います。このデザインになるのは1965年からですので「スーパーカブ」生誕が1958年ですから、見た目はそっくりです。
調べてみると、細かいことを言えばフレームの作りもあちこち「スーパーカブ」とは違うのですが一般ユーザーが果たしてそこまで気にして選んでいたとは思えません。
ここでメイトの元祖をご紹介します。
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「ヤマハ・モペットMF-1」と言います。なかなかヤマハらしいオシャレなスタイルだと思います。1960年前後のサスペンション(バネ)の形が今と違いますが、ピカピカのこのバイクなら今でも充分通用しそうなデザインですが、価格は「スーパーカブ」と同じ55000円でしたが、性能は1ランク下のものでした。
このあたりは、ヤマハがホンダの「ロードパル」に対抗した時、当時バカ売れしていた自転車っぽい「ロードパル」のデザインをあえて捨てて、フラットフロアを全面に打ち出した違った方向性のデザインから「パッソル」を発売したヤマハの経緯は、この「MF1」が決して成功しなかった経験から来たものかもしれないと勝手に思いました。
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次に出てきましたのが「メイトU-5」と言う形です。パット見はもう殆ど「スーパーカブ」ですね。しかし各所のデザインを見ると、ヤマハらしい「おしゃれな雰囲気」を強く感じます。
そして今でも「2サイクルエンジン」の燃料は「ガソリン」と「2サイクルオイル」の2つを給油しなければならない面倒な宿命がありますが、これより昔は今で言うところの「ガソリンタンク」に始めから「ガソリンと2サイクルオイルを混ぜたもの」を入れなくてはならず、オイルとガソリンの比率なども考えて入れなければならない手間は面倒なものでした。今でも芝刈り機などは「混合ガソリン」を使いますね。最近では農業系のホームセンターなどでは店頭で見かけます。
この手間を「ガソリン」と「オイル」を別々に入れてもバイクの方で自動で混ぜてくれる機構は大きなウリ文句として使われました。「ヤマハ・オートルーブ」と言います。(スズキですとCCISと言います。)
でも4サイクルエンジンの「スーパーカブ」ならその手間すら必要なくただ「ガソリン」を入れるだけですから、この辺も「スーパーカブ」が便利ですね。
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次に出てきてのが「Vシリーズ」です。これは50CCと70CCでスタートして、その後90CCも登場しますが、その後70CCと90CCが統合されて「V80シリーズ」となります。
この2サイクルのVシリーズは小排気量車ではやはり「走りの力の面」では4サイクルより有利ですが、燃費競争でも排ガス規制でも不利な2サイクルエンジンであるために、このメイトもその後の時代の流れで4サイクルエンジン搭載車が出てくることとなりますが、それでもユーザーの要望によって、2サイクルエンジンも廃止ではなく「併売」して生き残っていきます。乗った感覚で2サイクルエンジンのほうが「力があるな」って感じるのです。原付のような小排気量車では特にそれは顕著に感じられます。
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上の写真の「タウンメイトT50」の登場は1982年。この時代、王者「スーパーカブ」がマイナーチェンジ毎に「燃費攻勢」を仕掛けてきます。1983年の「スーパーカブ50」でついに史上最高の「180km/L(30キロ定値走行時において)」達成車を発表するに至ります。この記録は今も破られていません。この時期はそういう流れの中にあって、ヤマハもスズキも燃費に有利な「4サイクル車」の開発、発売をせざるを得なかったわけです。
ちなみに2021年現在のカブ50のカタログ上の燃費は「105km/L」となっています。走行性能を考えたときに「無難な燃費」に落ち着いたのだと思います。
この時点でもすでに「2サイクル」「4サイクル」が入り乱れてわけがわからなくなってきますので、これからは少し要点をザックリで行きます。
その後この見た目の形を保ちつつもヤマハもスズキも「郵政省」(現日本郵便)の特化したいわゆる「郵政メイト」や新聞配達用に特化した「ニュースメイト」が登場してきます。
より重いくて大きな荷物が積めるように、キャリアを頑丈で大型化しフロントにもかごやバッグを着けられるようにし、より小回りがききやすいように17インチのタイヤを14インチに小さくしたモデルが登場します。
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「タウンメイト90」です。またこの形が一般のファンにウケてこれで山道を走りやすいように改造したりする方たちも登場してきます。ハンターカブの発想ですね。
さてさて、ここまでごちゃ付いた「王者スーパーカブ」の影響力ですが、1994年に、ヤマハがヤマハらしい起死回生の逆転ホームランをかっ飛ばします。
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全く新しい新世代ビジネスバイク「ヤマハ・ギア(GEAR)」の登場です。
これには、ホンダもスズキもひっくり返ったことでしょう。「ギア」と「ベンリイ」に付きましては、「スーパーカブの子どもたち」として第3段でお送りいたします。
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「スズキバーディ90」2001年型最終形態です。だいぶ「スーパーカブ」から遠ざかりましたね。おしゃれとは言いにくいけれどスズキらしい機能的なデザインを感じます。
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ホンダスーパーカブ最新型「C125」です。もう原点回帰と言えるほど見た目は「スーパーカブ」してますよね。
それにしても「スズキのバーディ」(涙、涙・・・)頑張りましたよね。よくぞここまで・・・。
ヤマハもスズキもよく頑張っています。
さて初代、スズキバーディの前の原型は。
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「スズキ・スーパーフリーF50」1969年。まさか30年後に超一流大学のサークルが大事件を巻き起こすとは、「スズキ関係者の方」は夢夢思わなかったでしょう。なんともはや・・・。
まんま「スーパーカブ」ですね。もちろん細かいところにはこだわりを持たれていたでしょうが、「ヤマハ・ギア」登場までは致し方なかった。というかこれはやはり「ホンダ・スーパーカブ」の偉大さの証明でもあると思います。
ja.wikipedia.org
次にようやく「バーディ50」登場です(FR50)1971年。ヘッドライト下の黄色いポジションランプが印象的でマニアの中では「行灯(あんどん)」と呼ばれていますが、悲しいかなこの呼称もある一定時期「スーパーカブ」のポジションランプがおんなじデザインで通称「アンドンカブ」と呼ばれている方がメジャーです。
このタイプが、1993年の生産終了までいわゆる「見た目スーパーカブ」系の2サイクルバーディーの代表選手と言えると思います。
ここまで来ると、マニアの方でもない限り、なんだかどれも似たりよったりの形で「オタク族」ならいざしらず、ちょっとしんどくなってきたかと思いますが・・・
しかしもう一台どうしても行かせていただきたいモデルがあります。
ta.wikipedia.org
「スズキ・RC50」1990年。「別に普通のバーディーじゃん」とおっしゃる貴方様のためにこのブログを書いています(またか)。プロの方にはほんの少しだけ「お褒め」いただけるかもしれません。またこの「RC50」は上の「行灯バーディー」の上級車種の位置付けで「バーディー」とは呼ばれていませんでした。そして「行灯バーディ」も併売されていたわけです。こういうところがいいですね。
ポイントは白いレッグシールド(泥除け)に見える、5本のスリット。このスリットこそがこのエンジンの「紋所」。興味のお有りの方には「20へえ」くらいいただける代物なのです。
ja.wikipedia.org
小さすぎて見にくいのはご勘弁ください。小さな写真の銀色の部分に「JET-COOLED」と刻印されているんです。これはこの裏側にはファンがついていてこの写真で言えば右側から「吸気して」左下へ「熱を」「吐き出す」「強制空冷」を行うもので、エンジンの頭は自然の空気で冷やすけれどお腹の部分は扇風機で強制的に冷やすという「半強制空冷エンジン」というものです。
こういうの大好きです。
スズキは私の「GT380」でも「ラムエアシステム」と言うちょっと凝ったエンジンの冷やし方をする機構がついていて「ぶっ飛ばしても熱ダレしにくい」機構を採用していた会社です。
考えてみても、あの白い泥除けは走っているときは良いだろうけれど、渋滞していたり町中を走ったり止まったりしていたら熱がこもりやすいのは事実でしょう。あの「スリット」はそんな暑い熱を逃がすためのものだったのです。
スリットは当初は5本でしたがマイナーチェンジで3本になりました。マニアの方にはバイクの年代を見た目から判断する材料となっているようです。
さてここからは、もうヤマハの流れと似たような感じで、「郵政バーディー」「新聞配達用バーディ」が生まれ、その形の変化の中から一番初めの写真のもう「スーパーカブ」ではないビジネスバイクの形へと進化したわけでした。
15.「 ホンダ・スーパーカブ」の面白い仲間たち。
まずはじめに・・・・。モンキーと同じく、まずは前書きから・・・、
やはりこの「キングオブオートバイ」と言える「ホンダ・スーパーカブ」は原付バイクを語る上で避けては通れない車種ではありますが、その偉大さ故に「書きにくい」のが本音です。おおよそこの世にこのバイクに精通していらっしゃる方は星の数ほど存在しているし、ブログでも動画でも書籍でも「ホンダ・スーパーカブ」に関するものはあまりにも多いので、悩んで悩んだ挙げ句・・・、私流としては「スーパーカブ」本体のことや歴史はここでは深堀りし無いことにしましたのでご了承ください。
そこで私流には「スーパーカブ」を本流とした、ちょっと珍しくて面白いモデルのいくつかをご紹介したいと思います。もちろん知識不足、勉強不足から手落ちや過ちも出てくるとは思いますが、そのあたりはいつものように大目に見ていただきたいと思います。見た目を見て「へえ~、こんなのもあったんだ」とこれからカブの世界に足を踏み入れようとなさっていらっしゃる方のご参考になればと思っています。
また今回も「Wikipedia」と共に「英知出版」様の1995年「絶版車ガイド」を参考にさせていただきます。
もう一つ「ちょっと珍しくて面白いモデル」というのは、「スーパーカブ」に関して言えばナント言ってもキング様なので、「スーパーカブを元にしたモデル」となると本来なら「モンキー」も「DAX」もCB50以前のスポーツモデル「CL」とか「CS」とか「SS」とかみんな仲間になってしまいます。
これは「横置き」(エンジンが前に倒れている形)「4サイクルOHV*」(後にOHCになりますが)エンジンでギヤも一体としたエンジン全体のこの形を「スーパーカブ」が採用して、それが『今日まで』細かい所はどんどん変化していますが『基本的な形』は変わっておらず、その形を継承している車種はあまりにも多すぎて網羅できないので、少なくとも「スーパーカブ」の見た目から大きく逸脱していないモデルに絞り込もうと思います。
*「OHV」「OHC」ってよく聞くけど何だ????
細かい機構は調べていただくとして、「OHV」(オーバーヘッドバルブ)古い、「OHC」(オーバーヘッドカム)新しい。
と考えていただいたらよろしいかと思います。「OHV」より古いと「サイドバルブエンジン」などが有り、「OHC」より新しいと「DOHC」(ダブルオーバーヘッドカム。ツインカムなどと言うときもあります)などがあります。
mc-web.jp
今のカブです。完成された素晴らしいデザインですよね。惚れ惚れしてしまいます。
私もそうでしたが、若い方がバイクの「カッコいい」と言う見た目に「レーシングマシン」を思い浮かべるのは、オートバイが乗り物である限り「速さ」を追求した頂点に有る「レーシングマシン」の形に憧れるのは当然のことでしょう。
私もその一人でした。1980年頃だとこの「スーパーカブ」は日常の足として、仕事の道具として今と同じように、街中にあふれていましたが、当時の若い私達の感覚では「カブ」は「ダサいバイク」でした・・・。
しかしカブが登場した1958年当時このカブは「最高にかっこいい!おしゃれの最先端」憧れのバイクだったそうです。
bike-lineage.org
初代「スーパーカブC100」です。C100といいますが50CCです。
上の写真と見比べていただけますか?ハンドルと前のタイヤのサスペンション以外はあまり変化を感じません。63年間大きく変わらないデザインて凄いとしか言いようがありませんよね。
しかしこのバイクが当時なんでこんなに憧れられたのか?といいますと、この当時1958年の他のバイクを見てみると・・・。
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「スズキ・スズモペット」
autoby.jp
「田中工業・タスモペット」
とまあこういうバイクが原付50CCだったわけで、そこへ馬力は2倍の4.5ps,
最高速度70キロ(カタログ値)を謳って登場した「スーパーカブ」でしたからみんな飛びついたわけです。発売1年で月産1万台を突破、この「スーパカブ」増産の為に作られた「鈴鹿工場」が完成すると月産3万台を上回る。
これは私が「ロードパル」のところで書いた年間25万台の大ヒットの数字を上回るもので、その年代の経済背景の違いから行っても如何に「スーパーカブ」がバカ売れしたのか?がわかります。新車価格が55000円。当時の平均的サラリーマンのお給料が2万円台だった時代にです。
しかしそうは言っても「スーパーカブ」は仕事にも使えるバイク。もうちょっとなんとかならんのかなあ?・・・ということで登場したのが、
young-machine.com
1960年「ホンダC110スポーツカブ」
これはもう、文句なく「カッコいい」ですね。今の「ネイキッド」の源流を感じます。これでお蕎麦の出前は、しないと思います。当時の若者が憧れた気持ちが伝わってきます。
そしてこの流れは、同じようなデザインの「CS90」へと引き継がれ、この頃エンジンもより高回転高出力に対応しやすい「OHC」にカブも含めて変化していき「CS90」は「CL90」と言うオフロード系バイクを生み出し、「ヤマハDT1」の登場1968年によって「オフロードバイク」が、進化していきます。
オンロードバイクは、250CC2気筒の「C70」、125CCで「C90」、そして初の「CB」を冠した「CB92」から進化し「CB450」をへて1969年の「CB750」(ナナハン)へと繋がっていく。
ここで一旦原点へ帰りますが、その前にもう一台・・・。より「オフロード」へ、より「サーキット」へと進化していく過程の中で、今も絶大な人気を誇り売れているバイクに「CT125ハンターカブ」があります。
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カッコいいですね。大人気です。これもカブ系のエンジンを使った、よりオフロードに強い「ハンターカブ構想」というのが持ち上がります。
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これは「CT50」と言います。大元は1963年のハンターカブ55。そして1964年CT200(200と言っても90CCでした)これが1967年には「CT90」と進化しましたが、ここまではあくまで「輸出専用車」でした。やはり国内より国土の広い海外のほうが需要が大きかったと思います。
そして1968年にようやく「CT50」として国内販売が開始されました。このバイクの素晴らしいところは、「副変速機」を備えていたことです。
「CT90」の90CCエンジンから50CCへエンジンはスケールダウンしましたが、この「スーパートルクレンジ」と言われた「副変速機」を備えたことで、3速ATのロータリーチェンジに「高/低」のギヤを別に設けることによって3☓2の6速の変速ギヤを駆使することが出来ました。
通常の走りでは「高」☓3速で走り、山に入ったら「低」に切り替えれば、急坂でも物ともしない頼もしい力を発揮しました。
自転車の変速ギヤを想像していただけるとわかりやすいかと思いますが、自転車のギヤで言いますと、後ろタイヤに付いてる変速ギヤが普通の自転車のギヤでギヤの直径が大きくなるほど「力は出るけどスピードは出ない」となりますよね。これが「副変速機」の場合はペダルを漕ぐ所にある前の変速ギヤにあたり、ギヤの直径が大きくなるほど「重くはなるけどスピードは出る」となるわけで、前2段、後ろ5段変速でその自転車は10段変速と言われるのと、理屈は全く同じなわけです。
この山へ奥深く分け入ったり、砂地や泥濘地などを走るための「副変速機」と言う発想はとても魅力的で素晴らしい機構だと思います。
この「副変速機」付き車はその後レジャーミニバイクの「ホンダ・モトラ」にも搭載され、中古車市場では高値取引されているバイクになっています。
このスピードは出ないけれど強い力を発揮できるギヤの機構としては「副変速機」とは別に「エクストラ・ロー」発想というバイクもあります。1速のギヤ比だけを特別に大きく取って、山道や砂地など大きな駆動力が必要なときにはそれを使うと言う考え方です。代表的なバイクは「ホンダ・シルクロード250」に付いています。これは「エクストラ・ロー」へギヤを入れるときは、通常のクラッチとは別に小さなレバーがついていてそれを握って「エクストラ・ロー」へ入れるという本格的なものです。
また「カワサキ・スーパーシェルパ250」などはもともと6速ミッションですが、これの1速のギヤは「エクストラ・ロー」として、普通の1速より大きなギヤ比の設定になっています。大きな力を発揮できるということは「スピードは出ない」わけで、これがまた「歩く速度」でも、両足を地面に付きながらバランスを取って進む、2輪2足走行も可能となり山奥や柔らかい砂地でも「駆動力」を発揮できるようになっています。
「CT50」に話を戻しますが、このあとから1967年「CT90」1980年「CT110」2013年「クロスカブ110」2020年「CT125ハンターカブ」
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へと進化していくわけです。大きな流れはおわかりいただけたかと思います。
2つポイントをお話しますと・・・。
①「ハンターカブ」と言う名称はすべてのこの形のバイクの総称ではなく、時代によって「ハンターカブ」と呼ばれたり、呼ばれなかったりしている。しかし、現実的には総称としてこの形のスタイルのバイクは「ハンターカブ」と呼ばれることが多い。
②副変速機の機構もすでに現行の「ハンターカブ」にも「クロスカブ」にも付いておらず、一定の期間のモデルにしか付いていない。
というところが面白いと思います。私はこの手の機構は「大好き」なのですが、現行車では付いていないとなると「市場ではあまり必要とされていない」というメーカー判断があったのではないかと思います。
ですから私が中古で狙うとしたら、間違いなく1981年以降クロスカブ以前の「副変速機」付き車ということになります。
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[
「外見から簡単に副変速機のありなしを見分ける」方法をご紹介します。・・
上が「ナシ」下が「付き」です。下のモデルの110と書いてあるステッカーの、「時計の7時方向」に固形石鹸のようなモナカのような出っ張りがありますが、これが「副変速機」です。上のモデルには付いていません。これで簡単に写真から「付き/ナシ」の判断ができます。
話が長くなりますが・・・。どうしても言いたいことがもう一つだけ・・・。これは上も下も同じですがまた110のステッカーの「時計の2時の方向」を見ていただくと黒いゴムホースが見えますが、この先にキャブからつながる「空気の給気口」があります。ほとんどリヤキャリヤと同じ高さです。そして排気管も他の「右向き写真」を見ていただくとおわかりのように、アップマフラーで排気口はリヤキャリアのすぐ下まで来ています。
これは長い時間は無理にしても、このバイクはこの高さ(吸気口と排気口)の下まで水没してもエンジンは動き続ける事ができる。ということです。これはとても良く考えられているなと思う、このバイクの素敵なところです。(路面状況などの諸条件によっては走行可能を保証するものではないとは思いますが、機構の発想が素晴らしいと思うのです。)
次はこれです
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「何?ふつうの古そうなカブじゃん!」と言って頂いたらこのブログはあなたのために書いております。
カブにお詳しい方は「オ~~。これを忘れたら怒るでぇほんまに・・」といっていただけるのではないでしょうか。
「C240ポートカブ」と言います。ワタクシはこの手の方向性が大好きなのであります。このモデルは「スーパーカブの廉価版」というバイクです。ハンドルがパイプ製、ミッションは2速AT(当時のスーパーカブは3速AT)タイヤが「スーパーカブ」の17インチから15インチへ小径化、キックペダルは左側(普通は右側)で、しかも折り畳めない(普通は折り畳める)。極め付きは「ウインカーがない!!」「ストップランプも無い。」1962年昭和37年の発売当時はストップランプは「赤い反射板」、ウインカーは、「ライダーが右左折時に手を挙げる」で良かったのです。素晴らしすぎます。「スーパーカブ」が55000円で「ポートカブ」は43000円。
しかし、大して売れず2年で廃番となりました。(こういう希少性が大好きだ!)中古車が出ていないか探しましたが見つかりませんでした。(残念)
ところで、「スーパーカブ」ってどこが「スーパー」なの???って疑問のお答えをします。それは「スーパー」じゃないカブが存在していたからです。
wikipedia.jp
ちょっとわかりにくいかもしれませんがこれが「スーパーカブ」の元祖「ホンダ・カブF-2型」と呼ばれるものです。普通の自転車にエンジンをくっつけたモデルでタンクが赤いところからプロの方には「赤カブ」と呼ばれています。この頃はまだ「2サイクルエンジン」で100社以上が群雄割拠していた当時のオートバイメーカーの中から構造が複雑でお金もかかる高級な「新開発の4サイクルエンジン」を引っさげて、「スーパーカブC100」が誕生したわけです。
*4サイクルエンジンと2サイクルエンジン。
いつものように難しい話は抜きにしてザックリ簡単に表にしましたので見てください。
4サイクルエンジン | 2サイクルエンジン | |||
音 | 静か | うるさい | ||
普通の馬力 | そこそこ | あり | ||
構造 | 複雑 | シンプル | ||
高回転に | 強い | そこそこ | ||
燃費 | 有利 | 不利 | ||
排ガス規制 | 有利 | 不利 | ||
新旧で言えば | 新 | 旧 |
バイクのプロを目指していらっしゃらなければ、このくらいの感覚で思っていただければ、よろしいかと思います。
これにまつわるわかりやすい昔話しにお付き合いいただきます。
私がすでに2サイクルの熟成の粋に達しつつあった「スズキGT380」を乗り回していた頃、スズキから新しい4サイクルバイク「GS400」と言うバイクが出ました。流麗なスタイルに最新のDOHCツインカムエンジンを載せた、それはそれはかっこいいバイクでした。友人と良く箱根へ「ぶっ飛ばし」に行ったものですが、仲間の4人の内訳は「GT380」2台「GS400」2台で箱根のターンパイクと言う有料道路を「大観山」の頂上まで麓の料金所からレースをしたものです。何十回と走りましたが4サイクルの「GS400」は2サイクルの「GT380」に1度も勝つことは有りませんでした。当時は自分の腕が良いのだと思っていましたが、これが少しバイクのことがわかってくるととんでもない間違いだったことがわかりました。当時「GT380」の馬力は38ps「GS400」は36psでした。車重は若干「GS400」のほうが軽かったと思います。にもかかわらず「GS400」は全く一度も「GT380」の前に出ることは有りませんでした。「箱根ターンパイク」という有料道路は、長い直線の上り坂の多い道で、マシンはコーナリング性能より「エンジンの馬力」が物を言います。しかし馬力は2台ともほとんど同じ・・・。
実は私もわかりやすくするために単純に「馬力」と言っていますが、エンジンを評価するのには「〇〇PS」と共に「〇〇kg/m」と言う表示を目にされることと思います。これはトルクと言ってこれもエンジンの馬力を表す目安の一つなのです。
ほとんど同じ排気量の「GT380」と「GS400」パワーは2psの差でしたが、トルクは「GT380」が3.8kg/m、「GS400」が3.2kg/mと圧倒的に不利だったのです。
当時「新しい車種のGS400」の友人はいつも地団駄踏んでいましたがでいましたが、これは決して友人の腕のせいでもバイクのせいでもなく、「2サイクル」と「4サイクル」のトルクの差だったわけです。
しかしながら未来を睨んで、「燃費」や「排ガス規制」に有利な4サイクルエンジンをホンダは積極的に作っていきますが「馬力(トルク)が出やすくお金のかからない2サイクルエンジン」は、各メーカーが主流で使い続けていたわけです。
そんな中、当時の2サイクルエンジンの2倍の出力を持った「4サイクルエンジン」の出現は、まさに「スーパー」だったわけです。
地上の星を知ってほしい。これは「おもしろい仲間」とは言えませんが、レッキとして存在していた、この車種です。
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「スーパーカブC70」です。
なんの変哲もない70(73CC)のスーパーカブでしたが、20世紀末の頃は、スーパーカブは50,70,90の定番ラインアップがありました。今は車種が絞られていますから、50CCの上はすぐ90CCとか110CCや125CCとなっていますが「懐かしの・・」観点から言いますと70CCスーパーカブは活躍していたわけです。
ルーツは1961年のC105、これは54CC。中途半端ですが、原付50CCではどうしても物足りないと言う需要に答えるものだったのだと思います。そして1965年の「C65」63CCです細かく刻んできますね。そしてようやく1969年にC70として落ち着きます。
そしてこの流れが生産中止の2000年まで続きますのも、感慨深いものがあります。
特に目立った新機構などはなくただ50CCでは物足りない、90CCではエンジンが大きすぎるという、需要の為に存在していたC70。わかりやすいお話は「スーパーカブフリーク」と言われる「スーパーカブ」のスペシャリストの方々がノーマルの「スーパーカブ」を追い求めたときにたどり着くのはC70なのだそうです。大人のスーパーカブの大人の選択肢それが「スーパーカブC70」なのだそうです。
お付き合いいただきありがとうございました。「スーパーカブ」の面白い仲間たち「前編」の終了とさせていただきます。(まだやんのか)
14. 女性向き?の可愛い見た目の原付バイクたち。
まずは、私はファッションのセンスが全くありません。
だからこれからご紹介しようと思うバイク達は「恐らく…メーカーが女性をターゲットにして作ったのではなかろうかい????」 と言う、「想像」を元に話しますので、あくまで「見た目優先」でしかも私の私感で選んでいます。
先ずは、それを御了解していただきたいと思います。 また「可愛い」と言う観点から、イタリアスクーターもご紹介しますが、「ベスパ」などは、とても詳しい方たちがいらっしゃるはずで、私の記事は曖昧だったり誤りがあるかもしれませんが、そのへんはご容赦願いたいと思います。
「可愛いスクーター」の定義は難しいと思いますが、「おしゃれなスクーター」として名高いのは、やはり「映画ローマの休日」でオードリーヘップバーンとグレゴリー・ペックがデートに使った「ベスパ」ではないでしょうか。これなら長い歴史の中でもしっかり評価があるので安心です。
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「ベスパ・フェンダーライト」と言います。やはりこの手の「可愛いバイク」となると原点はここにあるかもしれません。
見た目の好みは千差万別なのでマイナスなコメントは避けたいと思いますし、この手のバイクに「パワーが云々」とか諸元表比較をしてもあまり意味を感じないので、まずは各社のモデルのご紹介をしてから少しだけ横道にそれたいと思います。
まずはホンダから
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「ホンダ・ジョルノ」王道デザインですね。
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「ホンダ・ジュリオ」世代が昔の日本の「ラビット」のようなデザインです。ここまで古典的デザインのほうが目立つことは目立ちますね。
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「ホンダ・クレアスクーピー」シートが低くて今風スクーター的デザインですよね。
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「ホンダ・ジョーカー90」50もあります。流麗なデザインですね。カッコいい。
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「ホンダ・ビア」イタリアホンダ製造の逆輸入車です。「イタリア」ぽいというか、日本デザインとは明らかに違うものを感じます。
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[ヤマハ・ビーノ」この手のジャンルの王道バイクです。歴史、人気、共に安定感があって、現在も新車でラインナップされています、(デザインや中身はマイナーチェンジしていますが)大きさや、丸みなどファッショナブルだなと、思います。
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[スズキ・ヴェルデ」いよいよヴェルデ(出るでぇ)ご、ごめんなさい・・・。私は各メーカーさんにはそれぞれ「一言」あって・・カワサキさんは好きだと書きました。スズキさんは青春を作ってくれた「GT380」のメーカーさんですから嫌いな訳ありません。バンバンのところでも書きましたが・・・しかしこれは・・・「無難の塊」なのか・・・「自信のなさ」なのか・・・このバイク自体に言うことは有りませんが、しかしスズキさんぽくない。ファンファン50の精神は何処へ・・・。
ホンダがロードパルを出し、ヤマハがパッソルを出して、原付ブームが始まって、次にスズキが出した初めてのスクーターは
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「スズキ・ジェンマ50」でした。あのマカロニウエスタンの二枚目イタリア人の「ジュリアーノ・ジェンマ」さんをCMキャラクターに迎え「スズキジェンマ!スプレンディダ!」といわせましたね。
今まで調べることすらしませんでしたが、「スプレンディダ」はイタリア語で「綺麗だ」と言う意味だそうです。
私は新車が出たときに試乗車に乗りに行きました。ロードパルやパッソルとは明らかに違う「本格派」を目指していて「随分大きいな」と思いました。
今こうしてみると、イタリアの「クラシックスクーターのデザイン」の王道を行っていたのだな?ということがわかります。もっと小さくすればよかったのではなかったか?と勝手に思っています。
さて、スクーターの本場イタリアの代表的スクーターと言えば、冒頭に出てきた「ベスパ」ですが私はペスパが「メーカー名」だと思っていました(無知でごめんなさい)らそうではなくて「ピアッジオ」と言うイタリアのバイクメーカーの「ペスパ」と言うブランド名だったのです。しかしその歴史は古く「ローマの休日」によって、スクーターと言えば「ベスパ」みたいな感じがあります。
例えば昔のヒットドラマで私を含めて男性はファンが多い「故松田優作」さん主演の「探偵物語」に登場し主人公工藤ちゃんが普段の移動に使っていたのは「ベスパPX150」でした。
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150以外に125CCと200CCの設定があるようです。確かにカッコいいですね。しかし似ているスクーターが有りました。
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「ヤマハ・ベルーガ80」(50もあります)似てませんか?パッソルからスタートしたヤマハの「お手軽フラットフロアスクーター」路線から「HY戦争」真っ只中で「本格サイズ」のスクーターとして登場したのがこのベルーガでした。
しかし松田優作扮する工藤ちゃんがこのベルーガを乗り回していても、話題になっていたとは思えません。そこが「ネームバリュー」というものでしょうか?
ピアッジオには他に「ジレラ」「モト・グッツィ」「アプリリア」などがありますが、これらはみんな小さな会社を「買収」して合併吸収したものです。
「ジレラ」といえば「ジレラランナー」と言うスクーターは、125CCクラスのスクーターとしては世界最速を誇るスクーターだし、「アプリリア」といえば「RS50」「RS125」「RS250」と言うスポーツバイクを今でも販売していて、これも同クラスでは世界最速を誇っています。「モトグッチ」も横型Vツインエンジンの大型バイクのイメージがあって、それぞれが独立したバイクメーカーだと思っていましたが、今や「ピアッジオグループ」の傘下にあるようです。
やはりさすがは「フェラーリの国」です。
話が横道にそれてごめんなさい。最後に「可愛いバイク」の路線で一つ見つけましたのでご紹介します。
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「イタルジェット・ヴェロチフェロ」と言います。人を強制的に笑顔にさせようとしている顔芸スクーター(としか思えません) 名前にしても「きゃりーぱみゅぱみゅ」と同じ路線だと思いますが、イタリア人なら無理のない発音で読めるのでしょうね。
それにしてもどこかで見たことのある顔だと思いましたが、わかりました。
映画ハリーポッターに出てくる妖精の「ドビー」に似ています。
いかがでしょうか?イタリアンスクーターデザインのいくつかを取り上げてみました。ワタシ的には「ベルーガ80」か「ジョーカー90」あたりが買えるならほしいかと思いましたが、この時代のスクーターの中古車の球数は「無いに等しい」のが現状です。また「女性向き」と題しましたが、年式や機械的な中身もよく検討しないと維持出来ないジャンルでもあります。(身近に詳しいショップが有るとか)
13. スズキ・バンバン(バリエーションの極み)
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「スズキ・バンバン」
一度でもバイクを所有したり、興味のある方は、きっと名前は聞いた事があるでしょう。「どんな所でもバンバン走る」と言うイメージから付けられたこのバンバンと言うバイク。 名前の由来なんて、私も最近まで知りませんでしたが、モンキーにしても「猿の様に小さくて可愛い」でしょうし、ホンダモトラと言うバイクなどは「モンキー」の「トラック版」から2つを繋げて作られた造語です。
この「バルーンタイヤ」(風船みたいな大きなタイヤ)が特徴のこのバイクは1971年まずは「バンバン90」として世に出ました。
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「なんじゃこりゃ!」と言う衝撃的なスタイルの乗り物ですが、その前に1967年のモーターショウにて衝撃的デビューを飾った「ヤマハDT1」の存在があります。
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このバイクは日本に初めて「本格的な山道を走れる用バイク」として市場に圧倒的な支持を得て登場しましたが、その影響を受けてか?(未確認ですが)「もっと」「もっと」砂浜とか、ぬかるんだ道でも走れるバイクとして「バンバン90」は発売されました。
しかしこの2車を比べると・・・DT-1はスマートでカッコいいけれど「バンバン90」は、アブドーラ・ブッチャーのようでどうなんでしょ??って感じもしなくはない。
この一番の特徴的な「風船タイヤ」については、難しく語りだすと大変なので、今まで「革靴」しかない時代に、「登山靴」が便利で売れたのだから「かんじき」
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だって売れるだろう!と言う感じで、「より条件の悪い道でも有利なタイヤ」と思っていただいたらよいかと思います。
コンセプトとしては「どんな道でもバン!バン!走れる」ということで・・・ダジャレかよ!と言いたくなりますが、スズキさんとしてはそのようだったようです。
スズキと言うメーカーさんは、私が新車で「GT380」を所有していたよしみで言わさせていただきますが、やはり「鈴木修」会長がオーナーとしてしっかりいらっしゃるので、かなり「頑固」なところがあって、それが時として大変な効力を発揮したりします。日本はもとより世界に今でも数多くのファンを持つ私も大好きな自動車の「ジムニー」などは、
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軽自動車で本格的4WD車???そんな無茶な!!と全役員の反対の中「鈴木修」会長の鶴の一声で企画がスタートしたと言うことです。
バイクの名前でいうと「スズキ・コレダ」・・(バイクはこれだ!!!)とか面白いネーミングがあります。
話をもとに戻しますが・・・・。
このヘンテコリンでふくよかなバイクは、翌年1972年には「バンバン125」
一回り大きな奴が登場します。しかし、私が感じるのには、スズキはこの「風船タイヤバイク」は相当世の中にブームを呼ぶに違いないと思っていたのかな?と思うほど開発と販売にその後も力を注いでいきます。が、それでは世の中に「カブ」や「ロードパル」のようにあちこちで見かけるか?というとそういうバイクと思えない。
私達の世代でも「ミニトレ」「DAX」は大流行でしたが「俺のバイク、バンバンなんだぜ!」という友達もいなかった・・。
これはプロの方もご賛同いただけるかと思いますが、今回データ集めで色々調べていてもこの「バンバン」の扱いは極めて「冷たい」。ネット情報が「薄い」のを感じました。
原付バイクの中でも「爆発的人気車」ではなかったと思います。
しかししかし・・・スズキは本気でした。この1972年には「バンバン50」(記事の先頭の写真)が登場し、翌1973年には「バンバン75」が登場。
「50」「75」「90」「125」とフルラインナップの完成です。
このバンバンシリーズで忘れてはならないのが「空気入れ」の存在です。「バイクのタイヤの空気なんかバイク屋で入れればいいんじゃないの?」と思いますが、「50」の一部の種類を除いてこのバンバンには「手動式空気入れ」が装備されていました。125CCの写真の「SUZUKI」のロゴが入ったシートの前部の下のフレームの下にシルバーの「筒」のようなものが見えますがこれが「空気入れ」です。
これはこのバイク独特の装備で前述の「風船タイヤ」に関係してます。このバンバンの「風船タイヤ」は「超低圧タイヤ」とも呼ばれ、海岸線や山道やぬかるんでいる道を走り時には「アスファルトの舗装路」を走るときより「タイヤの空気」をわざと抜いて、この風船が「パンパン」ではなく「フニャ」としていた状態で走ると走破性が格段に上がるようになっています。
そのために、山道に入るときに「空気を抜いて」走り、舗装路へ戻ってきたらまた「空気を入れる」と言う操作のために必要な装備なわけです。
今は「林道走行」が流行りで多くの方が、YOUTUBEに動画をアップされていらっしゃいますが、「バンバン」ではない普通のオフロード車でもこの「空気抜き」はよくやっているのを見かけます。
さて・・「空気入れ」のお話のあとは、「バンバン50」のバリエーションについてお話します。
その前に一つだけここで解説を入れます。私のブログの中でバイクの「変速機」について良く「AT」「MT」とか「ギヤ付き」とか「マニュアル」とか言う言い方をしてますが、難しい機構の話をすると、書く方も読む方も大変なので一旦ここでまとめておきます。
『AT』とはクラッチ操作のないバイクのことを言ってます「オートマチック」とか「オートマ」とか「ギヤなし」とかも言います。厳密に言えば「AT」も多くの種類があり、実はメーカーによっても、その構造には微妙な違いがありますが、それを言い始めたら大変なので、ここではひとくくりに「クラッチ操作をしなくて良いバイク」とします。車でいうと、ペダルが2つしかなくてアクセルとブレーキだけの車。ということになります。
バンバンについては「AT」とは自動遠心クラッチを表すこととして、ギヤはあるし「変速の操作」もするけれど、クラッチの操作はしなくて良い。つまりアクセルをひねれば走り出す。事を言います。自動エンジンクラッチのバイクとしては代表的なのは「ホンダスーパーカブ」がそれに当たります。
それに対して
「MT」(本来の意味はマニュアルトランスミッションの略)とはクラッチ操作を必要とするギヤ付きバイクのことを指します。(ちなみにクラッチ操作を必要とするギヤなしバイクは有りません。ここでは単に「ギヤ付きバイク」とか「MT」とか「マニュアルバイク」とかいうことにします。
要は2つしかありません。「AT」は運転は楽だがスピードは出ない。「MT」は面倒なクラッチ操作はあるけれどスピードは出る。くらいに捉えていただけたらよろしいかと思います。(それでも50CCは、30キロ以上出してはいけない事になっているんですけれど)
さて表題の()内のサブテーマに「バリエーションの極み」と書きました。とても大きな存在感はあるにせよ、それほど爆発的人気があったようには思えなかった、このバンバンシリーズですが、スズキさんはこのバンバンに強い思い入れがあったように思えてなりません。
特に「バンバン50」はもともと「なんじゃこりゃ!」で登場した「バンバン90」でしたが、「ヤマハのミニトレ」「ホンダのDAX」による原付ブームによってお手軽スクーターも交えてこの手の50CCバイク全体に人気はまだまだあったように思えます。
そんな中、スズキの「レジャーバイク」の一角を担う「バンバン50」には、なんとしても多くの人に乗ってもらってその良さをわかってほしいと言う「意気込み」を感じます。それはこれからお話する「バンバン50」のバリエーションによっておわかりいただけるのではないかと思ってています。
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発売当時の「バンバン50」はギヤ付きMTの3速で、前のばねはスプリング式でした(安いチープなタイプ)
なんとなく・・かっこ悪い?スタイルを「可愛く」演出するために「花柄シート生地」の「バンバン50G(デラックス)」を登場させました。
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う~~ん・・・「可愛い」といえば可愛いか・・・・。
そして次に、男の子向けか?「バンバン50S(スポーツ)」登場。
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エンジンガードが付きました。前のバネを「油圧式 」にしました。お金はかかるが、バネはより良くなりました。ギヤを4速マニュアルにしました。私はこの手のバイクは「エンジンガード」は必須アイテムだと思っています。レジャーバイクだから舗装路のところばかり走るとは限りません。草がぼうぼう生えていて岩がゴツゴツしているところも走りたいもんです。なんたって「どんなところでもバンバン走る」はずだから。
しかし前の写真など見ると岩などがエンジンにぶつかったら「マフラー(排気管)」直撃です。だいたいマフラー(排気管)の材質は折れることはないですが凹みます。新品に変えればよいですが、それも面倒なので、そのまま走り続けることになります。しかしかっこ悪いし、売るときにも査定は大きく下げられます。燃料タンクとかマフラー(排気管)は、そのバイクの「顔」とも言える部分なのでここが傷ついていたり凹んでいたりすると買う側は買う気を失います。ということで査定も叩かれるということになります。
またデザイン上エンジンガードがないとなんかズボンを履いていないみたいで違和感があります。
その点でも「バンバン50S」はズボンが履けてよかったと思うのです。
次に・・・「山なんか行かないよ。もっと町中を楽に運転したい人」用にと「バンバン50T」が登場します。
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ズボンもいらないし(エンジンガードなし)、前後のタイヤが細くなりました。これによって町中での小回りが利きやすくなりました。(街乗り専門の方用?)
そしてもう「ギヤもいらないよ」ということで、オートマチックの「バンバン50A」も登場しました。
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左のグリップのところにレバーが有りませんね。
新車価格 | 全長mm | 車重 | 馬力 | 変速機 | タイヤ | 特記 | |
バンバン50 | 1615 | 79kg | 4.0ps | 3速MT | 太 | ||
バンバン50G | 1625 | 84kg | 4.0ps | 3速MT | 太 | 花柄シート | |
バンバン50S | 78000 | 1650 | 79kg | 4.0ps | 4速MT | 太 | スポーツ |
バンバン50T | 1615 | 79kg | 4.0ps | 4速MT | 細 | 街乗り | |
バンバン50A | 1615 | 79kg | 4.0ps | 3速AT | 細 | オートマ | |
バンバン75 | 95000 | 1625 | 86kg | 6.5ps | 4速MT | 太い | 2人乗り可 |
バンバン90 | 105000 | 1805 | 89.5kg | 8.0ps | 4速MT | 太い | |
バンバン125 | 185000 | 1960 | 109kg | 11ps | 5速MT | 太い | |
ウルフ | 145000 | 1620 | 78.8kg | 4.2ps | 5速MT | 太い | 派生モデル |
新バンバン125 | 輸出専用 | 5速MT | 太い | 4ストインジェクション | |||
バンバン200 | 437600 | 2140 | 128kg | 16ps | 5速MT | 太い | 4ストインジェクション |
この辺で一覧表を作ってみました。どうにも当時の新車価格がわからないところはご容赦ください。小さな変更点しか無いので大きく値段が変わっているとは思えませんが。
旧車のバンバンシリーズを一通りご紹介したところで、一覧表にある「ウルフ」に行ってみます。
このバイクは1982年にでた「バンバン」もどきのバイクなのですが、
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ウルフのフレームは新設計。エンジンもハスラー系の新しいパワーリードバルブのエンジン。なんかプラスチックみたいな素材で覆われていていかにも新しそう。
これを「旧バンバン」と併売していたというのだから・・・スズキの意図は如何に・・・???ホンダで言うところの「ノーティDAX」とか「R&P」なんかとライバルのようですが、いい感じなのに短命に終わったバイクです。
ここでまた名前の話。「スズキウルフ」というと、実は別のバイクもあるのです。1962年製「ウルフT90」というのが有りました。
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いかにも「昔のバイク」って感じですけれど、デザイン的には「カッコいい」って感じがします。
そして・・・もう一車種、1988年の「ウルフ」はこちら。
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「ウルフ250」と言います。当時は大流行のサーキット専用レーサーをモチーフにした「レーサーレプリカ」と言われたスズキの「RG250ガンマ」。
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時代を変えた名車と言われる「ヤマハRZ250」とがっぷり4つに組んだ人気車種でしたが、このカッコいいサーキット専用車みたいなバイクの「RG250ガンマ」の「カウル」を外して町中でも走りやすくしたのが「ウルフ250」だったわけです。この「ウルフ」は他にも125CC,50CCと設定があってどれもそこそこの人気車種でした。
しかしスズキは、どれほど「ウルフ」好きなのでしょうね。
さて、2000年にはバイクブームもすっかり下火になり各メーカーも「経営の存続」のために新車の販売種類をどんどん削っていた頃、月曜日の9時から「ビューティフルライフ」なるドラマが始まりました。SMAPのキムタク演じる美容師と不治の病に侵される常盤貴子さんとのラブストーリーでしたが、このドラマの中でキムタクさんが乗っていったのが「ヤマハTW200」。
これはもう大人気となりTW200ブームが起こりました。TW200というのは本来山道を得意とするバイクなんですがドラマではそれを「ストリート仕様」に改造して乗り回していたのですが、それが「カッコいい」ということになり、ベース車のTW200は中古車も新車もバカ売れ状況のなったわけです。
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これがベース車となった「ヤマハTW200」です。あら??なんとなくバンバンに似てませんか????
ということで・・・・。スズキも慌てて新車を出してきました。「新型バンバン200」です。
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前は125が一番大きかったのに、なぜか200・・・。もちろん「TW200」の対抗するためですが・・・・、しかし見た目はあのバンバンのボテッとしたイメージをしっかりと残しています。ドラマでは「ストリート仕様」にガッチリ改造されていた「TW200」でしたのでTW200の山を走る原車のイメージは残っていなかったのですが、せっかく新しくブームに乗ろうというのなら、もっと「軽やかな」スキッとしたデザインにすればよかったのではないかと思うのですが・・・それが違う・・。
そこに、バンバンに対するスズキの強い想いを感じるのでした。
そしてこの「バンバン200」には輸出専用車として「バンバン125」の設定があります。ワタシ的にはこの原付二種はいいなあと思いました。私の好きな「インジェクション」ですし・・・。
しかし自分で所有するなら旧車の「バンバン75」だと思います。なんかコロコロしていて可愛いし、2人乗りもできるし、しかし最近の「中古車市場」は完全な供給不足で昔は5万円くらいで変えた車種が軒並み「30万円~50万円」となっていてため息が出ます。新車が種類がないから種類が豊富にあった時代のバイクたちに人気が集まるからですね。バランスの問題だから仕方がない。けど高い・・・。しかしバイク屋さんも生き残っていかなきゃならないですしね。
12. ホンダ・モンキー
ああ・・ついに、避けては通れない難問記事に挑戦です。汗。
もう一番はじめに、平謝りでお詫びいたします。『この世の「カブ」「モンキー」フリークや大ファンの方々や仕事で生業にされていらっしゃる多くのプロの方がた』大変に申し訳ございません。
私はただの「原付きバイクが大好きな、ど素人」に過ぎません。偉大な「カブ」「モンキー」についてブログを書くほどの知識も経験もないです。乗ったことがある程度で所有していたことも有りません。しかしながら「原付大辞典」を謳うからにはこの2台の名車について語らないわけにはいかないと思うのです。
まずは、この「懐かしの原付バイク大辞典」が、バイクに乗ったことの無い方や、乗り始めたばかりの方、また普段の足として使っているけどメカや歴史や他の原付バイクなどにはあまり興味はないという方や、バイクなんか全く興味がない、むしろバイクなんか危なくて大嫌いだ。という方に向かって書いているつもりなのです。そういう方たちが、もしかしたら何かのきっかけでバイクを好きになってくれるかもしれない・・・。そんな思いで書いています。
だってバイクに詳しい方は世の中にゴマンといらっしゃるし、その中でも、この名車「カブ」「モンキー」を語るというのは、故野村克也様に「野球について語る」ようなもの。
そのために、なるべく「モンキー」なんて「名前しか聞いたことが無い」言う方に「わかりやすく」「簡単に」「表面的に説明する」形を取ろうと思います。
また、いろんな見た目のモデルがあるので「こんな形もあったのですよ」と言うモデルの違いを主体に書こうと思います。
「カブ」と「モンキー」どちらにしようか悩みましたが、やはり「カブ」を書く勇気がなく(あまりに歴史も古く、深いので)まずは「モンキー」から行ってみます。
前置きが長くなりましたが、よろしくお願いいたします。またこれを書くのについて英知出版社様の1995年発売の「絶版車ガイド」(大事に持っていました)と株式会社マガジンボックス様の「原付バイクと青春時代」を参考にさせていただきました。
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普通みなさんが思い浮かべるモンキーはこれだと思います。しかし今、このモンキーは新車で買えません。生産中止になっているからです。1967年発売の「Z50M」から50年、2017年にモンキーは生産中止となりました。その少し前からは「アニバーサリー限定車」と言う企画販売がいくつもあってその時も「バカ売れ」しましたが、調べてみるとなんと2000年頃からこの「アニバーサリー特別限定販売」方式はかなり頻繁に行われていてモンキーについては何か「黙っていては売れない」「きっかけ売リ」が定番となっていたようです。
確かにモンキーは小さいので「特別仕様」を作りやすく、また特別仕様を販売することでその個体が中古になっても「市場価格」を高値維持できるメリットがあります。
最終発売の限定500台には、なんと45000人の応募があったそうです。すごすぎる。
惜しまれて生産中止となったモンキーですが翌年の2018年にナント!「モンキー125」で復活を果たします。
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モンキーのイメージを絶対に崩さずに125CCのエンジンが乗るように見事にスケールアップされたデザインです。
モンキー | モンキー | |
125 | 50 | |
全長 | 1710 | 1365 |
全幅 | 755 | 600 |
全高 | 1030 | 850 |
シート高 | 775 | 660 |
車重 | 107 | 68 |
定員 | 1 | 1 |
燃費 | 71km/L | 100km/L |
馬力 | 9.4ps | 3.4ps |
燃料供給 | インジェクション | インジェクション |
燃料タンク | 5.6L | 4.3L |
変速機 | 4速MT | 4速MT/AT |
ブレーキ前 | ディスク | ドラム |
ブレーキ後 | ディスク | ドラム |
タイヤ | 12インチ | 8インチ |
メーター | デジタル | アナログ |
ライト | LED | 電球 |
価格 | 407000 | 276000~ |
ここで比較表を見てみましょう。面白いことがいくつかわかります。まず「シート高」にご注目「50」が660mmに対し「125」は775mmあります。この高さは660mmはミニバイクのしかも小さいバイクのレベルそのもの(小さいスクーターのハミングと同じ)ですが、775mmというのは原付バイクの中でも「低い方ではない」むしろフルサイズバイクの低いシート高って感じで、「モンキー=ちびバイク」ではなくなったのがわかります。
次に見ていただきたいのは「定員」です。両方とも1名。「50」はもともと「2人のり」は出来ませんからわかりますが、「モンキー125」は原付2種(125クラス)なので法的には長いシートがあって後ろの人が足を乗せるところがついていれば「2人乗り」は可能なはずです。
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「TL125」これは私の大好きなバイクですが、ご覧のように「山を走る」事を得意としたバイクです。しかもこのバイクは「トライアルバイク」と言って山道を「ぶっ飛ばす」のではなく「崖を登ったり」「岩を乗り越えたり」するのに適したバイクなので本来なら「一人乗り」でよいわけです。ところがこのTL125は後ろのスプリングバネの右横あたりに「後ろの人が足を乗せる」ステップが「折りたたんである」のが見えます。
つまりこんな「岩の上をよじ登る」ようなバイクであっても装備があれば「2人のり」が可能なわけで、現にこのTL125は「岩の上もよじ登れるし」「町中では2人乗りも出来ます」ということをウリ文句にしているわけです。
本来レジャーバイクである「モンキー125」が何故「1人乗り」なのか・・・・・。
それは「2人乗りの装備」を着けてしまうと「デザイン」がおかしくなってしまう。ということからだそうで、長年に渡り愛され続けてきた「モンキー50」のデザインイメージを壊したくなかった。ということだそうです。「利便性」より「イメージ」を大切にした結果だったのです。「造り手の思い」素晴らしいですよね。
次に「馬力」を見てみましょう。「50」の3.4psというのは典型的な原付50CCファミリーバイクのそれであり、平均的な馬力です。しかし「125」の9.4psというのは50CC~125CCクラスの原付2種の中では「アドレス110」の記事の表を見て分かる通り
|
全長 |
車重 |
出力 |
トルク |
燃費 |
エンジン |
燃料 タンク |
シグナス125SV |
1800mm |
101kg |
10ps |
1.0kgm |
41km/l |
空冷 4サイクル単気筒 |
6.5l |
シグナス125D |
1860mm |
104kg |
10ps |
1.0kgm |
55km/l |
空冷 4サイクル 単気筒 |
7.8l |
グランドアクシス100 |
1850mm |
90kg |
10ps |
1.1kgm |
39km/l |
空冷 2サイクル単気筒 |
6.5l |
ヴェクスター 125 |
1910mm |
104kg |
12ps |
1.2kgm |
54km/l |
空冷 4サイクル 単気筒 |
8.0l |
アドレス 110 |
1855mm |
93kg |
10ps |
1.3kgm |
41km/l |
空冷 2サイクル単気筒 |
6.0l |
アドレス V100 |
1745mm |
83kg |
9.0ps |
1.1kgm |
43km/l |
空冷 2サイクル単気筒 |
6.0l |
スペーシー 125 |
1790mm |
106kg |
10ps |
1.0kgm |
43km/l |
空冷 4サイクル 単気筒 |
6.5l |
当時通勤快速と謳われた「アドレスV100」で9.0ps,、2010年製の「アドレスV125」で、9.9ps、であったことを考えるとこの「モンキー125」の9.4psというのは、なかなかの「高馬力」と言え、実際いくつかの雑誌の「インプレッション記事」を読んでも「走りに不満なし」と言う記事が一般的です。
「モンキー50」ではやはりレジャーバイク、ファミリーバイクの仲間であり「30キロ」の制約もあるので、どうしても走りに不満が有りました。
実際に昔のモンキー50に乗ってみても「何だ!この原付!速い~~~」って感覚はなく、全く「普通の原付」って感じでしたが、それはモンキーにとっては、「速さ」は必要ではなくその小ささからくる「可愛らしさ」のほうが重要でした。
また「改造」を趣味にしたり、「改造」を生業にしている方にとって格好の「材料」でもあったわけでそれで良かったのです。
つぎに「変速機」を見るとまた面白い事がわかります「125」の4速ギヤ付きマニュアルは、「初めてバイクに乗る人」用ではなくて、「ギヤ付きバイク」を乗りこなしてきた方がモンキー50も含めた、いままでバイクに色々乗ってこられた方に「たどり着いてほしい」バイクの位置づけナノではないか?と思います。
また「時代の変化」が大きな要因にもなっています。現在はスクーターがその市民権を持って125CCスクーター市場は「ホンダPCX」の大ヒットもあって、運転免許証にしても「AT免許」なるものが自動車の世界でも当たり前で、この125CCクラスでさえ「AT免許」があるとなるとわたしが若い頃のように「マニュアル」=「速い」「AT」=「遅い」。「マニュアル(ギヤ付き)」=カッコいい、「AT」=「ダサい」なんてことは、今は全くなくなり4輪乗用車の世界では「AT」=当たり前、「ギヤ付き(マニュアル)」=珍しい。となっています。(ちょっと偏見入っているかもです。ごめんなさい。)
原付クラスのバイクでも「ギヤ付き」=「速い」「ギヤなし(AT)」=遅い、と言う時代から「アドレスV100」登場あたりからはもう「ギヤ付きバイクよりスクーターのほうが速い」と言う時代になりました。
が!しかし!(声を大にして)車はもう公道を「ぶっ飛ばして走る」なんて時代ではなくなりました。どこへ行っても高速道路でも車の数が増えてしまい「飛ばしようがない」のが現実です。乗用車は渋滞でも「運転操作」が楽なATが主流なのは時代の流れです。
バイクでも当然それはあると思いますが、その一方で「ギヤ付き車」にはバイクや車を「操る」「操縦する」醍醐味があります。この「楽しみは」初めて「ギヤ付き車」に触れてクラッチの難しく煩雑な操作を「四苦八苦」して覚え、ようやくバイクを乗りこなせる様になり、4輪では「レース」に憧れて「ヒール&トウ」(レース専用のギヤチェンジの操作方法)の練習を必死でやった思い出がある世代には、今の時代は全く「今は昔・・・昭和は平成を飛び越えて遠くなりにけり」ですね。
横道ごめんなさい・・・・・・。
モンキーも発売当初は「AT3速」でした。誰にも手軽に乗れる「レジャーバイク」としてのキャラですから当然ですが、発売から10年も立つとだんだんモンキーもその個性が「薄くなり」ホンダからは新しい兄弟が出ました。
「ホンダ・ゴリラ」です。見た感じモンキーのタンクが大きくなっただけのバイクに見えますが、違いはタンクだけでは有りません。モンキー50は「車載目的」(車に積んでいって目的地で下ろして遊ぶ)のためにハンドルが折り畳める装備が有りましたが、ゴリラはそれが有りません。ハンドルの前とシートの後ろに「キャリヤ」が付きました。シート自体が大きくなりました。
これは「ゴリラ」が「車載」して現地で下ろして使うのではなく、「このバイク」でそのまま「遠出」してください。という思いが込められています。そしてその「変速機」も「50」の「3速AT」から「ギヤ付き4速」になったのです。
そしてこの時期「モンキー50」も、「3速AT」だけではなく「4速ギヤ付き」を同時設定して「変速方法」を選べるようになりました。その後は「3速AT」がなくなり、変速機の主流は「4速ギヤ付き」へとなっていきます。
3速より4速のほうが「燃費」も稼げて「巡航」するときに静かに走れるからではないかと思います。じゃスーパーカブのような4速ATにしたら??ということもありますが、そこは「運転操作する楽しさ」というのがバイクにはまだ残っているのかな?と思います。モンキーには「乗っていて楽しい」と言う使命もあると思うのです。
灯火類は「ヘッドライト」「ウインカー」「ブレーキランプ」みんな125では「LED」になりました。最近のバイクではもう当たり前ですね。
さて「価格について」ですが・・・。
まずモンキー50から。1967年初登場の「モンキーZ50M」の新車価格は63,000円でした。2017年最後の特別限定車は、400,000円です。比較表に276000~と載せたのは、この価格販売のあとから「アニバーサリー特別仕様車」の「モンキー閉店セール」が始まり、「特別仕様車」が出るたびに価格は暴騰していくからです。
「モンキー50」の価格変化は後で表を乗せますが、ここでは「モンキー125」の400000円について話します。現在の他の125CCクラスの新車価格が参考になりますよね。
新車販売価格 | |||
モンキー125 | 407000 | ||
スーパーカブ110 | 280500 | ||
スーパーカブC125 | 407000 | ||
スーパーカブ50 | 236500 | ||
PCX125 | 357500 | ||
ハンターカブ125 | 440000 | ||
クロスカブ110 | 341000 | ||
GSXR125 | 415800 | ||
ZX-25R | 825000 | ||
DIO110 | 242000 |
ちょっと説明が必要ですね。
「GSX125R」はスズキのレーシングバイクの形の125CCです。
「ZX-25R」というのは、バイク全体の中でも今一番売れているカワサキの250CCのバイクです。
「DIO110」とういのはホンダのお手軽125CCスクーターです。
ため息が出ます。1977年大昔のスズキのバイク・・我が「GT380」は¥300000でした。
もう一つの説明は「カブ」と「ハンターカブ」は125と110が併売されています。110が古い型で125が新設計の新型車です「モンキー125」はこの「新設計新型車」の仲間であることがわかります。
最後に「この偉大なモンキーの歴史」について話しますが、サラッとしかやりません。モンキーは大変な名車であって、今更私が語るでもなく、多くの大先輩やプロの方が語っているので「私ごときが・・」って感じが強いのです。このアップすら、できるなら避けて通りたい気持ちなのです。それほどのモンキーは「名車」であるわけです。
最後に年代別のモンキーの一覧表です
発売日 | 形式 | 特記 | 価格 | ||||
1961年 | Z100 | 遊園地のおもちゃとして子供用に誕生。市販はされず | |||||
1963年 | CZ100 | 輸出用に発売。国内市販はされず。 | |||||
1967年 | Z50M | 国内発売開始 | 63000円 | ||||
1969年 | Z50A | 前輪にサスペンションが付く。タイヤ8インチに大きくなる | 63000円 | ||||
1970年 | Z50Z | 車体前後が2つに分離できる(車載用)後ブレーキ足踏み式に | 63000円 | ||||
1974年 | Z50J | 後輪サスペンション付く。リヤキャリヤ付く。ブロックタイヤ付く。 | 79000円 | ||||
1978年 | Z50J | シート、タンク変更、タンク 5L になる | 100000円 | ||||
1979年 | Z50J | 初のシルバーメッキ限定車。3ATと4MT併売 | 130000円 | ||||
1981年 | Z50J | ブラック/ゴールド登場。4MT廃止 | 109000円 | ||||
1984年 | Z50J | ゴールドメッキ5000台限定車 | 139000円 | ||||
1985年 | Z50J | 2.6psから3.1psへ | 119000円 | ||||
1987年 | モンキーR | 4.5psフロントディスクブレーキ | 159000円 | ||||
1988年 | Z50J | ホワイトモンキー特別仕様車 | 125000円 | ||||
1988年 | モンキーRT | Rのアップハンドル版 | 165000円 | ||||
1990年 | Z50J | ブラックモンキー 1部ディ-ラーのみ限定モデル | 132000円 | ||||
1991年 | BAJAバハ | 2灯ヘッドライト、ナックルガード | 159000円 | ||||
1992年 | Z50J | 12V化、CDI点火方式 | 169000円 | ||||
1995年 | Z50J | タンクエンブレム立体式 | 189000円 | ||||
1996年 | Z50J | ゴールドモンキー、リミテッド | 189000円 | ||||
1997年 | Z50J | チェック柄シート | 199000円 | ||||
1999年 | Z50J | 排ガス規制に対応車 | 191000円 | ||||
2000年 | Z50J | Z50Zカラー | 199000円 | ||||
2001年 | Z50J | トリコロールカラー | 199000円 | ||||
2002年 | Z50J | CB750カラー | 199000円 | ||||
2003年 | Z50J | CBX400Fカラー | 199000円 | ||||
2004年 | Z50J | CB750Fフレディ・スペンサーカラー | 200000円 | ||||
2005年 | Z50J | クラシカル2色カラー | 195000円 | ||||
2006年 | Z50J | Z50Mカラー | 205000円 | ||||
2009年 | Z50J | 3.1psから3.4psへアップ。インジェクション化 | 295000円 | ||||
2011年 | Z50J | ブラックリミテッド | 285000円 | ||||
2012年 | Z50J | プラズマイエロー | 276000円 | ||||
2014年 | Z50J | くまモンバージョン | 312000円 | ||||
2016年 | Z50J | アドベンチャー専用装備 | 312000円 | ||||
2017年 | Z50J | 50周年アニバーサリー | 326000円 | ||||
2017年 | Z50J | 最終50周年スペシャル500台限定 | 400000円 |
2014年辺りからの暴騰が目に付きますね。50年にわたり、多くの人に愛された背景には「ホンダ」の「顧客の要望に答える」という熱い気持ちが伺えます。
ここで一覧表に出てくる「派生モンキーの見た目」を見てみましょう。
1987年「モンキーR」
bikebros.co.jp
1988年「モンキーRT」
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1991年「モンキーBAJAバハ」
bikebros.co.jp
1979年「モンキー・ダビットソン」50CC
motor-fan.jp
(このバイクだけはバイク部品メーカー「キジマ」さんのオリジナルパーツを着けた特殊車両です)
ここまでお付き合いくださったあなたは、真の「モンキーフリーク」と言えると思います。ありがとうございました。
11.ロードパルのライバルたち。
1976年1車種だけで25万台の爆発的ヒットと飛ばした「ホンダ・ロードパル」
ライバルたちも頑張りました。ヤマハは、「スカートでも乗りやすい」その後のスクーターたちに多大な影響を与えた「フラットフロア」(足を乗せるところがバーではなくてフロアのスタイル)を引っさげた「パッソル」で市場に参入。
スズキはもっと「本格的なスクーターの時代」を読み取って「スズキジェンマ(後に250CCスクーターで消滅した名前を復活採用する)」で市場参入。いよいよ原付きバイク戦争の幕開けとなり、市場の期待に答えるべく、ホンダ、ヤマハ、スズキの3社は熾烈な開発競争へと突き進んでいきます。
市場の方向性は3つあったと思います。
①とにかく安くて軽くて気軽に乗れるお買い物バイク。
②スピードとパワーを追求した、速い走りを求めたバイク。
③多少は高くても大きくてしっかりとした本格的な大人のバイク。
そんな中でもまた、「足をどう置くか??」と言う、従来のバイクスタイルの「バーステップ」か・・・スカートでも乗れる「平らなフロアステップ」を持ったバイク。に別れたと思います。
そんな中、爆発的ヒットを飛ばした「ホンダ・ロードパル」は「お手軽格安バイク」であり、足の置き方は「従来からのバーステップ」の形のバイクです。
goldenyokocho.jp
さあ!これに対抗する他社の同クラスのバイクたちを自社のホンダ車も含めて見ていきましょう。今回は「パッソル系(フラットフロア系)」や「走り屋系」や「高級本格派」系はあえて除外して調べました。それでも「造り手」の熱意は充分に伝わってきます。
まずは、身近な自社のホンダ車から時間軸から言うと「パルフレイ」と「パルディン・パルホリディ」でしょう。
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ホンダ・パルフレイ[G]
honda.co.jp
ホンダ・パルホリデー
webike.net
ホンダ・パルディン
ロードパルから随分デザインが多様化してきました。「パルフレイ」は「ロードパル」を洗練した感じ。「パルホリデイ」と「パルディン」はホンダらしい「遊び心」に振ったデザインになっています。当時私は「パルディン」がほしかった(カッコいい!と思ったから)
エンジンなどの機構は「ロードパルと同じ」です。「パルフレイ」「G」というのは、「ロードパルE」の進化と共に同時に進化したタイプです。(パワーが少し上がって、2.2ps→2.5psへ、プラスオートチョークが付いた)
そして次の世代は「ハミング(G)」です。
honda.co.jp
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上が「ハミングG」下が「ハミング」です。ここで面白いのは、だいたい車やバイクは「名前だけ」とその後ろに「〇〇GT」とか「〇〇RS」つくとベースモデルは「名前だけ」の方で「GT」とか「RS」とかつくと、そちらが高級版を意味するのですが、この「ハミング」はなぜかベースモデル(安い方)が「ハミングG」で「ハミングG」にシルバー塗装を施し、「前カゴ」「泥除け」を装備したほうが「ハミング」(高級版)になっています。
このハミングでは「パルフレイ」と違って「ロードパル」に対して大きな変化があります。
まず目立ってわかるのは、エンジン始動のためのキックレバーの足を乗せる所が「普通の丸形」をしています。これは例の「ゼンマイ式始動方式」を辞めてしまったからです。昔ながらの「キック方式」の始動方法に変えて、その代わりといってはなんですが、ザックリ言うとエンジンが掛かりやすい「CDI点火」方式に変わっています(簡単に言うとこちらのほうが高級品)
そして「シートの高さ」が「ロードパル」の705mmから、665mmと下がっています。タイヤの寸法も「ロードパル」の14インチから10インチへと小さくなっています。それとタンク容量が「ロードパル」は荷台下に2.5Lタンクがあったのですが、「ハミング」ではシートの下に3.0Lタンクがあり、増量されています。これは「お客さん」の希望が「もっと小さくて良いわよ」「もう少し給油の頻度が少ないといいわねえ」ってことなのだろうと思います。重さはほぼ同じです。
あの大発明「ゼンマイ始動方式」が・・・、だめだったか?・・・。とほほほほ。
次にヤマハです。ヤマハの場合は「パッソル」がヒットしたので、どちらかといえば「パッソル」→「パッソーラ」と「フラットフロア路線」を拡大したいこともあるのか、この「ロードパル系」路線は少しおとなしめですが、それでも流石にしっかりとしたシリーズを構築しています。それが「キャロット」3兄弟(マリック、リリック)です。
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「ヤマハ・キャロット」
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「ヤマハ・マリック」
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「ヤマハ・リリック」
時間軸別に「キャロット」1979年2月、「マリック」1979年3月「リリック」1979年4月と立て続けの新車攻勢!!当時の勢いを感じます。デザインは「ロードパル」をとても意識したデザインだと思います。
「ロードパル」の2.2psに対して2.3psで迎撃。「マリック」では2.8ps「2段変速」付きで突き放すと「ロードパルS」はこの年の10月に2.5ps「2段変速」で巻き返します。「マリック」は装備は良いが「99000円」で高すぎると見ると「リリック」では性能を落として「78000円」でお買い得に。
いやいや・・・がっぷり四つ相撲となり、いわゆる「HY戦争」なんて言われる所以でしょうか・・・。
ここでは「原付きバイク」の話しかしていませんが、この時期はもっと上の250CCでも400CCでもオフロード車でもメーカー間の争いは熾烈を極めていました。
全体の販売台数は年々急降下している中で・・・・。
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「ヤマハ・タウニー(TOWNY)」
ナベサダさんのCMで「いいなあ!これ!いいでしょ?これ」ってセリフが印象的でした。このあとホンダは「ランナウェイ」と言うバイクで迎撃するのですが、ちょっとこのバイクは「枠から外れる」かなあ?と思って書きませんでした。(価格が117000円もするから)
タウニーは超安くはないけれど、この本格的なでデザインで89800円を実現してました。すごいと思います。男っぽくてカッコいいですよね。エンジン性能はさほどでもなく、平凡で「2段変速」もない。シャフトドライブ(後ろのタイヤを駆動するのに自動車と同じような方式。故障が少ない)は、すでにキャロットシリーズ登場の時点でヤマハのアドバンテージだったし。(キャロットのところで書き忘れました。ごめんなさい)
でもこういう「作り方」「見せ方」「売り方」って素敵だと感じます。
さて、最後はスズキです。
スズキのこの手のバイクって昌子の(CM担当、森昌子)「ユーディ」「ユーディーミニ」が有名で他にどんなバイクがあったかな?と思いつつも調べてみると、結構色々出していてなかなかスズキも頑張っているなあと思えます。
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ユーディは、性能的にはかなりしっかりとして居て、ロードパルの枠からは外れるかな?と思いましたが、性能の割にはしっかりと10万円以下の販売価格に抑えてあり、その辺のコスパは大変に優れていると思いました。このグループでは車体も最大級で馬力も最大の3.5psあって一番しっかりとした作りです。そのうえで91000円の価格設定は見事だと思いました。
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ユーディミニはまた徹底して、お手軽低価格路線のバイクでホンダのハミングに匹敵します。諸元表からもほとんど同じと言っていいでしょう。
スズキは、やはり目立たないけれど、良いバイクを作ると思います。
なんとなくホンダやヤマハと比較するとおとなしいイメージがありますが、こうしてみるとどうしてどうして・・・やることきっちりやってるなあ・・・。と思います
この辺で表にまとめてみました。
車名 | 新車価格 | 車重 | 全長 | パワー | タンク容量 | 発売年 |
Hロードパル | 59800 | 44kg | 1545mm | 2.2ps | 2L | 1976 |
HロードパルL | 64800 | 48kg | 1545mm | 2.2ps | 2L | 1977 |
HロードパルS | 73000 | 48kg | 1545mm | 2.5ps/2速 | 2L | 1979・10 |
HロードパルE | 63000 | 44kg | 1545mm | 2.5ps | 2L | 1979・12 |
Hパルフレイ | 75000 | 52kg | 1545mm | 2.2ps | 2L | 1978 |
HパルフレイG | 75000 | 51kg | 1545mm | 2.5ps | 2L | 1980 |
Hパルディン | 79000 | 52kg | 1545mm | 2.2ps | 2.5L | 1978 |
Hパルホリデー | 79000 | 54kg | 1560mm | 2.5ps | 2.5L | 1978 |
Hハミング | 72000 | 49kg | 1475mm | 2.5ps | 3.0L | 1980 |
HハミングG | 67000 | 47kg | 1475mm | 2.5ps | 3.0L | 1980 |
Hランナウェイ | 117000 | 63kg | 1760mm | 3.1ps/cvt | 4.0L | 1983 |
Yキャロット | 67000 | 42kg | 1545mm | 2.3ps | 2.3L | 1979.2 |
Yマリック | 99000 | 54kg | 1540mm | 2.8ps/2速 | 3.7L | 1979.3 |
Yリリック | 78000 | 49kg | 1475mm | 2.3ps | 2.3L | 1979.4 |
Yタウニー | 89800 | 53kg | 1600mm | 2.8ps | 2.8L | 1980 |
Yポップギャル | 122000 | 54kg | 1600mm | 3.0ps/2速 | 3.2L | 1982 |
Yポエット | 122000 | 67kg | 1600mm | 3.6ps/3速 | 3.8L | 1980 |
Sスージー | 67000 | 46kg | 1540mm | 2.4ps | 2.5L | 1980 |
Sチョイノリ | 59800 | 39kg | 1500mm | 2.0ps/cvt | 3L | 2003 |
Sスワニー | 94000 | 58kg | 1600mm | 3.2ps/2速 | 3.0L | 1980 |
Sユーディー | 91000 | 61kg | 1635mm | 3.2ps | 4.5L | 1978 |
Sユーディーミニ | 73000 | 47kg | 1505mm | 2.3ps | 2.5L | 1978 |
Sファンファン50 | 89000 | 48kg | 3.2ps/2速 | 1982 |
さて「ユーディーミニ」と「ユーディー」のあとには「スージー」と「スワニー」が出てきますが、この二台もホンダ、ヤマハとは違った、スズキっぽい・・笑デザインのバイクになっています。
bikebros.co.jp
「スズキ・スージー」
baikebros.co.jp
「スズキ・スワニー」
なんとも言い難い「芸術家」的なデザインです。隼1300のフロントマスクにしても、現行ジェンマのフロントマスクにしても・・・、もう少し幾何学的なバランスがほしい気がしますが、個人の好みの問題かもしれません。
しかし中身は「スージー」はお手軽バイクの平均点だし、スワニーはもう少ししっかりした価格の高いグループのユーディークラスの実力を備えています。
一つここでお詫びをしておきます「一覧表」には、「ホンダ・ランナウェイ」「ヤマハ・ポップギャル」「ヤマハ・ポエット」を載せています。この3台は実力は申し分ないのですが、ご覧の通り「価格も高い」・・・10万円オーバーしているので、今回は「資料のみ」とさせていただきましたことをここにお詫びいたします。
さて、最後に・・・
私はこのバイク・・・知りませんでした。ごめんなさい。
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「スズキ・ファンファン50」1982年
こういうバイクに出会うと本当に嬉しくなります。「THE!スズキ!」って感じ。データーを調べてみても、どこにも見当たりません。あちこち探してようやく少しは穴埋めしましたが、結局全長と燃料タンク容量がわからずじまいでした。
3.2psの2段変速、48kgだから走りはきっと良いと思います。これで下道ツーリングでも行ったら最高だと思います。きっとあちこちで呼び止められて大変だと思います。私も見かけたらきっと声をかけずにいられないと思います。
こういうバイクが「ロードパル」の仲間たちに存在しているというのは、嬉しいことですが一体何台が世に出回っているのでしょうか?気になります。